星野ジャパンの決起集会も開催 元広島ドラ1のお好み焼き店を人気店にした闘将の言葉

あの人~ネクストステージ

吉見 健明 吉見 健明

 プロ野球の広島、中日などで活躍した片岡光宏さん(57)は現在、宮崎市内で広島風お好み焼き店「かたおか」の代表を務める。場所柄、2月のキャンプ期間中は多くの球界関係者が訪れ、大盛況。過去には「星野ジャパン」の決起集会も開かれたほどだ。

 片岡さんは府中東の「4番打者兼エース」として1979年のセンバツに出場し、その年ドラフト1位で広島に入団した。期待の大きさは外木場2世として背番号「14」を受け継いだことでもお分かりだろう。しかし、右肘を故障し、投手としては登板わずか5試合。野手に転向後の88年には10本塁打をマークしたものの、その後は中日、横浜(現DeNA)にトレード移籍。腰痛に悩まされ、91年オフに自由契約となった。

 引退後は幼子を連れ、夫人の実家がある宮崎へ。当初は知人の紹介でとび職に就こうとしたが、腰痛で断念し、この店を構えたという。

 「広島時代からお好み焼きが大好きで、毎日でも食べたいと思っていたから。単純な発想ですよ」

 そばは本場広島から取り寄せた生麺を使用。美人の奥様の支えと日々研究を重ねたことで、地元に根づいていった。5年前からは「備後府中焼き広報大使」を務めるほど。その傍ら野球への感謝の気持ちは強く、社会人野球クラブチーム「宮崎ゴールデンゴールズ」のGMの肩書も持つ。

 「野球に興味を持ってもらうために少年野球教室を開催し、広島のOBを呼んで野球人口の底辺の拡大に協力してもらってます」

 そんな片岡さんにとって忘れられないのが2008年1月31日。当時日本代表の大野豊投手コーチから「奥の個室、空いてる?」と1本の電話が入り、予想外の展開になった。北京五輪に向けた強化合宿のため、宮崎入りしたばかりの星野仙一監督以下、コーチ陣がやって来るという。

 「この大事な時期に、しかも空港に着いてすぐ。星野さん、田淵さん、(山本)浩二さんがそろって、うちの店に来てくれた。あのときは度肝を抜かれましたよ」

 片岡さんが中日に在籍したのは89年のわずか1年間。いまは亡き星野さんの人柄が偲ばれる行動に「優しくて、面倒見がいいと聞いていましたが、本当でした。2011年、楽天の監督のときには新人だった松井(裕樹)ら主力選手20人くらいを連れて来ていただきました。殿堂入りした田淵さんも毎年のぞいてくれます」と感謝した。

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