イモ欽トリオ長江健次がたどり着いた場所 震災のあった1月に神戸で恒例イベント

黒川 裕生 黒川 裕生

「忘れもしません。あれは元奥さんの実家がある神戸に、結婚のお許しをもらいに行った翌日のことでした」

そう語るのは、1980年代にテレビ番組「欽ドン!良い子悪い子普通の子」のフツオ役でデビューし、「イモ欽トリオ」のメンバーとして絶大な人気を誇った長江健次。ある不義理を働いたことで欽ちゃんこと萩本欽一に“破門”された長江が今、ライフワークのひとつにしているのが毎年1月に神戸で開催しているライブイベント「長江健次Cafe」だ。今年も幅広い人脈を生かし、桂ざこばや佐藤竹善、加藤雅也ら多彩なゲストが11日間(!)日替わりで出演する。

1995年1月17日に阪神・淡路大震災に見舞われた神戸にとって、1月は特別な月。震災当時、長江は冒頭のような事情で、前日にたまたま神戸を訪れていた。1月17日は大阪で地震を知り、飲み物などの支援物資を抱えられるだけ抱えて再び神戸へ。変わり果てた街の姿に言葉を失ったという。以来、「神戸の力になりたい」との思いを持ち続けていた長江。2014年からは、毎年1月に神戸の老舗ライブハウス「チキンジョージ」で音楽やトークを届けるイベントを開いている。

ミュージシャン、落語家、俳優…多彩なラインアップ

7回目となる2020年は、17日から27日までの11夜連続公演。初日の17日はTOY FLOWER(夏目一郎/ペーニャ大作)による「公開リハーサル」で、その後のラインアップは―

【18日】長江と山口良一、西山浩司が顔を揃える「イモ欽トリオ」

【19日】DA BUDS(杉山清貴/増田俊郎)

【20日】桂ざこば

【21日】佐藤竹善

【22日】加藤雅也

【23日】香西かおり、仙波清彦、高橋香織

【24日】桑田靖子、木元ゆうこ、小林千絵

【25日】野村義男(シークレットゲストあり)

【26日】久宝留理子、井上昌己、鈴木結女

【27日】伊藤銀次、杉真理

オファー前から準備していた加藤雅也

出演者はそれぞれ長江と親交があり、例えばNHKの朝ドラ「まんぷく」で「ユーアーカレーライス、オッケー」などと奇妙な英語を操るマスターを演じて話題になった俳優加藤雅也(22日)とは、30年ほど前に加藤の映画デビュー作で共演して以来の付き合いという。

長江は「まだオファーもしていない段階で、マネージャーさんから『加藤は喋る内容と歌う曲を決めて、1年間ずっと練習している』と言われた。そんなん、もう出てもらうしかないじゃないですか」と笑う。出演は実に3回目。「本当は歌は苦手らしいんですけど、前回、お客さんから喝采を浴びて味をしめたみたい」

肩の力を抜いた長江なりの「チャリティー」

過去には本番中に上岡龍太郎からかかってきた電話をリアルタイムで公開したり、「U.S.A.」で再ブレイクする前のDA PUMPのISSAがカラオケで代表曲「if…」を披露したり、泥酔した桂ざこばが段取り無視でステージをかき回したりと、話だけ聞いているとなかなかにすごいイベントの「長江健次Cafe」。だが震災という「初心」を長江は決して忘れてはいない。

「肩肘張った感じになるのが嫌で、大々的に『チャリティー』とは謳っていないけど、神戸新聞厚生事業団を通じて収益の一部を災害の被災地に寄付している。チャリティーは、あまり意識せず参加するくらいがちょうどいいし、素敵だと思うので」

開演時間は平日19時、土曜18時、日曜17時。チケットは前売り6000円。公開リハーサルのみ4000円。「チケットぴあ」か「ローソンチケット」の専用ページで購入できる。

■チキンジョージ http://www.chicken-george.co.jp/

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース