松村邦洋が炊き出しを続ける理由 他界した阪神ドラ1投手との約束

佐藤 利幸 佐藤 利幸

 ものまねタレントの松村邦洋(50)が、17日に神戸市長田区の商店街で昨年に続き、炊き出しを行う。長田区は1995年の阪神・淡路大震災で最も被害が大きかった地域の1つであるが、松村が今年もまたそこへ足を運ぶには理由がある。

 阪神ファンで有名な松村は、長田区出身のあるサウスポーと、ファン感謝デーやその他のイベントで会うようになり、親交を深めることになった。2016年に41歳の若さで他界した安達智次郎さんだ。安達さんは1992年のドラフトのクジで松井秀喜を外した阪神にドラフト1位として指名され入団。選手としては大成せず99年で現役を引退。その後、別の仕事に就いたが当時の野村監督の要請で2000年途中から打撃投手として復帰し、02年まで務めた。03年からは神戸・三ノ宮で焼酎バーを経営していたが、16年1月に肝不全でこの世を去った。

 安達さんの生前、2人は会うたびに被災者のために、何かできることはないかと話していた。それが実現したのが今から14年前の2004年11月28日。長田区の「西神戸センター街」で募金活動などのイベントを行った。そこでは何と2人はコンビを組んで漫才まで披露している。

 昨年の豚汁に続き、今年はカレーライスの炊き出しを行う松村。「震災から月日は経ちましたが、記憶から消してはいけないことです。元阪神の安達智次郎投手と復興のために何か出来ることはないかと話したことを思い出します。その遺志を引き継ぎ、全力でお手伝いしたい」と話した。

 さらに松村にとっては商店街でイベントを行うことにも意義がある。商店街にはデパートや百貨店にはない良さがあるという。お店のおじさん、おばさんが気さくに声をかけてくれて世間話ができる。そこには人と人をつなぐ会話が存在している。「だから今も中野新橋に住んでいる」と言う。

 「地域の交流や商店街の縮小といった、人と人とのふれあいが少なくなっていく時代で、昨年参加させていただいたとき、長田区は皆さんの努力でここまで復興してきたんだなと感じました」。17日で震災発生から23年目を迎える。

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