「長く座っていられない」便座を開発、13度下向きデザイン…職場でサボリ防止策

谷口 輝世子 谷口 輝世子

英国で5分以上座りにくい便座が開発された。デイリーメール電子版など複数のメディアが17日に伝えた。長居できない便座は、通常よりも下向きに13度斜めになっている。開発したのはスタンダードトイレットという会社で、このほど英国トイレット協会から、便座が13度斜め下になったデザインを承認された。

13度斜めになっていても、用を足すことには問題なく、健康への影響も現時点では考えられないというが、5分以上座っていると、足が痛くなってくるそうだ。英ワイアード電子版は、スタンダードトイレット社のコメントを紹介している。「13度という角度は不便ではないのですが、すぐに便座から降りたくなります」。

なぜ、長く座っていられない便座が開発されたのか。混雑している商業施設や電車などのトイレでなかなか出てこない人がいたり、勤務中にトイレでさぼったり、居眠りしたりする人が少なくないことが分かったからだ。

今年7月にソフトウェア会社が英国8都市で3514人を対象に勤務時間中のトイレ休憩を調べたところによると、ロンドンが最も長く、1日の勤務時間のうち、28分35秒をトイレで過ごしていることが分かった。用を足す以外に、スマートフォンでスポーツ結果をチェックしたり、テキストメッセージを送ったりしているとの回答があった。従業員が8時間の勤務時間のうち30分近くをトイレで過ごしていると、経営者側にとっては、その分の給与がもったいないということになる。

トイレで一息つくことも許されないのはあまりにもしんどいと思う人も多いだろう。すぐに立ち上がりたくなるトイレへの反論もある。安全なトイレ環境を調べていて、著書もあるシャルロット・ジョーンズさんはワイアード電子版の取材にこのように答えている。「トイレで過ごす時間を脅威と見なすことは、問題を誤った方法で見てしまっています。仕事中の避難場所としてトイレが重要になっているというのは、不適切な労働環境、重い作業負荷、サポートの行き届いていないマネジメントについて述べているのだと思います」とトイレの外側の労働環境や条件に問題があるのだと意見している。

長く座っていられないトイレがどこまで浸透するかは分からないが、米国や英国では、モーションセンサーで従業員の動きを把握したり、トイレの出入りを把握したりして、働きぶりを計測しているところもあるそうだ。

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