岡山県にある、とある橋の名前がユニークだとネットで話題になっています。その名前は…「備前♡日生大橋」。橋の名前に、まさかのハートマークが使われているんです。でも、橋の名前をいざ音読しようと思うと…「ハート」「はあと」「ハートマーク」…あれれ? 記号のところはなんと読めばいいのでしょうかねえ…。
話題になっているのは、岡山県備前市日生(ひなせ)町から沖合の鹿久居島(かくいじま)を結ぶ全長765メートルの橋です。2015年4月に開通しました。「備前♡日生大橋」という名前は、愛称や通称とは異なり、きちんとした正式名称で、国土地理院の地図にも、しっかりと記されていて、ちょっとびっくりです。Googleストリートビューで地域をめぐると、街の案内板にも名前を見つけることができました。
橋が開通する前から、その名前の珍しさにネットは盛り上がったそうですが、今でも時々注目が集まり、「インパクトがでけえ」「マジなのこれw」といった声が寄せられています。「公共事業界のキラキラネーム」という指摘や、「『つのだ☆ひろ』みたい」と、芸能人の名前を思いついた人もいるようです。
橋の名称について、備前市の担当者に聞きました。
―どうしてこんな名前になったのでしょう。
「一般公募で決まりました。この橋のある旧・日生町は2005年3月に備前市と合併して新しい市になりましたが、橋の開通は、まさに新・備前市誕生から10年のタイミングでした。そこで、備前と日生をつなげる熱い思いが込められた名称として決定されたようです」
―ああ、♡の部分には、きっと地域をつなげる熱い思いが込められているのかもしれませんね…。
「公募は2013年の8月10日から10月31日まで行われ、224件の応募がありました。ちなみに名前が選ばれたのは備前市内の方です」
―とはいえ、とても珍しい名前ですね。
「感覚的に珍しいとは思います。ただ、この名前がどの程度珍しかったのかについては、こちらでは調べていません」
―ちなみに、♡の部分はどのように読めばよいのでしょうか。
「特に決まった読み方はありません。それぞれお好きな読み方で…おまかせしています」
―ええっ…それって、結構困りませんか? しかも♡マークって、いわゆる「機種依存文字」で、パソコンなどでは表示できない可能性もありそうですけど…。
「特に困ってはいません。市役所では♡が使えないときは『備前・日生大橋』という表記を使用しているようです」
―♡の名前の入った橋ができてまもなく5年ですけれど、ほかにハートにちなんだようなものは地域にありますか。
「近くに日生の港を見下ろせる『みなとの見える丘公園』というスポットがあるのですが、そこに恋人たちが愛を誓って南京錠をかけることができる柵(一般的に『ハートロックフェンス』と呼ばれるもの)があります」
―あらっ…。もうすぐクリスマスですし、橋と組み合わせたら、素敵なデートコースかもしれませんね!
◇ ◇
なお、橋の名前の付け方について、橋梁の問題について調査研究を行っている一般財団法人橋梁調査会に聞くと、「一般的には地先名(先へつながっている場所の名前)をつけるケースが多い」とのこと。「一般公募をする以外でも、地方自治体の首長が名付けたり、委員会形式で検討するケースもある」そうです。
橋の名前についてトレンドのようなものがあるかどうかはわからないものの、名前は多様化しており「カタカナが含まれたりといった橋もあります」とのことでした。
「備前♡日生大橋」は、JR赤穂線・日生駅下車徒歩約10分。車の場合は山陽自動車道備前インターチェンジもしくは赤穂インターチェンジから約20分の場所にあります。橋の上からは瀬戸内海の島々が織りなす「多島美」と、牡蠣を養殖する筏(いかだ)が並ぶ、日生諸島ならではの景色が楽しめるそう。通行料金は無料で、車はもちろん、自転車・徒歩でも渡ることができるそうですが、歩道はないとのことですので、通行にはご注意ください。