撮ったぞ大正時代エネルギッシュ!…現役活動写真弁士が、映画『カツベン!』の周防監督に独占インタビュー

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大森 そうだったんですね。あと、細かい映写のシーンなど、いろんな本で読んでいたものが、(当時の様子が)目の前で再現されていて、「わあ、すごい!」と、すごく感動しました。

周防 映写機を探すところでも、要するに手回しの映写機、手回しのですよ! まだ(当時は)モーターがないので、人間が手で一定のスピードで回す。これは撮影用のカメラもそうだったんです。カメラマンの特殊技能として、一定の速度でフィルムを回せるかどうかというような、回す練習をしていたらしいですから、当時のカメラマンは。そういうところを実際の映像で見せたくて、そこは美術部が本当に苦労して映写機を探し、なんとか撮影に使えたということです。

大森 (映画のなかでは)細かいところが本当にツボで、感激しながら拝見させていただきました! あと弁士役をされた主演の成田凌さんですが、主演抜擢の決め手は?

周防 たくさんの若い俳優さんに会って、それで成田さんにしたのですが、好きになれるかどうかは個人の趣味の問題で、成田さんは好きなタイプの若者という範疇、それは大きかったです。ただ、いい意味で裏切られたのは、(主演に)決めたときには、クールな二枚目方面の若者だろうと、勝手に思いこんでいたんですが、実は三枚目的な要素がいっぱいあって、そのキャラクターが坂本頼光さんの活弁のイメージとぴったり合った。やんちゃで(笑)。

大森 (笑)。頼光さんも『ザ・芸人さん』という感じですよね!

周防 半分お笑いに足を突っ込んでいる人ですからね。そういうやんちゃなことを表現できる元々の性質が成田さんにあったのはすごいラッキーでした。そのわりにお茶目でかわいい感じなんです。

大森 コメディっぽいシーンとかすごくハマってらっしゃいました。

周防 あの憎めない感じが成田さんはよかったですね。

大森 あと、弁士役として、高良健吾さん、永瀬正敏さんも出ていますが、弁士のモデルはありましたか。

周防 ありました。劇中でも徳川夢声さんの話が出るのですが、永瀬さんの母体になるのは徳川夢声さん。飲んだくれているとか、普通の弁士と違って、歌い上げるというよりはボソッというところとか。ただ、ほかの人は特定の個人というのはあまりないです。当時のいろんな弁士さんのプロフィールとかを見て、〇〇タイプというのは、(いろんな弁士さんの)いいところどりをしたというか。大雑把にいうと、高良さんはいわゆるこてこてのオーソドックスな活動弁士をイメージしました。成田さんはさっき言ったように、どっちかというとやんちゃな感じというか、ウケるためになんでもやるみたいなタイプにしました。

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