「#タピゴミ0活」の仕掛けとは?渋谷で変わる「タピオカ地図」他店のゴミ箱利用可

北村 泰介 北村 泰介

 2019年はタピオカ入りドリンクが人気商品となったが、その功罪として「飲んだ後の容器のポイ捨て」が消費量の多い夏に社会問題化した。「タピオカ支持層」の中心となる20歳前後の女性が多く訪れる渋谷では、この街を象徴するファッションビル「SHIBUYA109」を展開する株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが「タピオカMAP」を今秋から一般配布し、28日でちょうど1か月になる。実はこの地図には、店舗紹介だけでなく、ポイ捨てと放置を防ぐための画期的な「仕掛け」があった。担当者に話を聞いた。

 同社が発信するオウンドメディア「109ニュース シブヤ編集部(以下109ニュース)」が昨年から配信してきたタピオカ記事で培ったノウハウを生かして作成。渋谷駅周辺でタピオカドリンクを販売する17ブランド21店舗を網羅し、地図の右上には「飲んだら、ゴミ箱へ!」をスローガンとした「#タピゴミ0活」のマークを表示している。掲載された21店舗のゴミ箱にも同様のステッカーが貼られ、他店で購入したタピオカドリンクの容器を捨てられるという企画なのだ。

 109ニュースの竹内彩編集長は「MAPは2万部刷って、1000部ずつくらいを店舗さんにお渡しし、SHIBUYA109渋谷のインフォメーションなどにも置きました。まずは手に取ってもらい、『ゴミ箱へ』の啓発が目に入って意識する所から始めてもらえれば」と話す。また、同社広報は「当初は協力いただけるか不安だったですけど、みなさん快諾してくださり、ゴミについての意識は店舗さんも持っているのだなと感じました」と明かす。

 タピオカは歩きながら街の風景の中で飲む。専門店には座って飲むスペースがないことが多く、購入後は飲み歩きとなるからだ。飲み終える頃には買った店から遠く離れていて、近くにゴミ箱が見当たらない場合に放置する人が出てくる。

 だが、MAPを見て、現在地近くの掲載店に行けばゴミ箱に捨てられる。今まではその店舗の商品しかゴミ箱に捨てられなかったが、他店の商品でもOKという協力体制が各店舗間ででき、「ゴミ捨てガイド」という今までになかった媒体が実現したのだ。地図で店を探し、MAPに表示されたマークのステッカーを貼ったゴミ箱に気兼ねなく捨てられる。

 さっそく実態を確認した。SHIBUYA109渋谷の地下2階には「食べ歩き」をコンセプトに今年6月オープンした「MOG MOG STAND」というフロアがあり、その中のタピオカ専門店「Chatime(チャタイム)」を訪ねた。

 同店のスタッフ、守重舞子さんは当サイトの取材に「(配布されたMAPは)1週間以内になくなりましたが、お客様が待ち時間にMAPを見ながら『ここ行ったことがある』とか『このお店気になってた』と話されていて、話題作りにもなっているなと思いました。飲まれた容器は通路の共有スペースにあるゴミ箱に率先して捨ててくださっているようです」と現場の声を伝えた。

 竹内編集長は「109ニュースでショップ店員たちと一緒にゴミ拾いの企画をやったのですが、渋谷にはゴミ置き場が少ないと思いました。暑さも過ぎた10月だったので、タピオカ容器はもうあまりないかなと思っていたら、意外と自販機の横に隠すように捨てられていた。今後、そういうことがなくなるといいと思います」。在庫も少なくなったが、今後はSHIBUYA109のHPなどでMAPのデジタル発信を検討している。

 最後にスタッフの思いを乗せて一言。飲んだ後のタピゴミをゴミ箱にちゃんと捨てるまでが、「タピ活」ですよ。

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