トラは遊び相手が欲しかったのか、たくさんの猫達とじゃれ合った。同じキジトラのチョコという親友もでき、チョコとのじゃれ合いで遊びの加減を覚えることもできた。シェルターの環境にも慣れてきたこともあり、毎月開催している「60家の譲渡会」に参加した。
その譲渡会では緊張のあまり、まるで岩の様に固まっていたが、参加数を重ねることで徐々に雰囲気に慣れるようになった。すると5月の譲渡会でトラを家族に迎えたいという優しい家族が現れた。60家の譲渡会ホームページやSNSを見てトラに一目惚れしたという。
条件も問題なくトライアルを始めることになった。トライアル先には先住猫のミィがいた。様子を見ながらトライアルをスタートしたが、なかなかミィとの相性が上手くいかない。トラが近づくと怖がって逃げて行く。トライアル期間は通常約2週間だが、2週間が過ぎても状況は変わらない。トラの里親を諦めた方が良いのか家族会議がされた。
「トラちゃんは本当に優しくて良い子。トラちゃんをもう家族だと考えているし、できることをやってあげたい」。家族からもう少し時間をかけて先住猫との相性をみたいと連絡があった。この家族ならきっと幸せにしてくれると思い、トライアルを継続することに。結果2カ月かけて2匹は追っかけっこをする程の仲になった。
トラはいまミィと優しい家族に迎えられ幸せに暮らしている。毎日家族に撫でてと要求して甘えているそうだ。