「球が上に上がって。行けると思いました。初めてチームに貢献できたと思えた」。13年にはプロ初本塁打を放つなど1週間で3度のヒーローインタビューを受けたこともあるが、自分の武器を最大限に生かせたヤクルト戦が印象深いという。
ファンを喜ばせることも“仕事”だった。雨天コールドになった試合では上本と一緒にAKBの「恋するフォーチュンクッキー」の曲に合わせて踊った。「最初はヨギさん(梵選手)に言われたのかな。むちゃぶりですよね。中止になりそうになると、そっちのことしか頭になくて」。スタメン出場するより緊張感があった。それでも声援を送ってくれる鯉党を喜ばせるために必死だった。
不動産業は人と人をつなぐ仕事でもある。橋渡しをした人たちが笑顔になってくれるのが何よりも励みになっている。「野球をやっていたときも、いろいろな人に支えられ感謝しています。この仕事でも出会いを大切にしながら、頑張っていきたいです」。満面の笑みを浮かべながら言葉をつむいだ。
(まいどなニュース/デイリースポーツ・市尻 達拡)
◆中東直己(なかひがし・なおき)1981年10月5日生まれ、38歳。広島県呉市出身。現役時代は右投げ左打ちの外野手。背番号00。広島工から東亜大、JR西日本、ホンダ鈴鹿を経て2006年度大学・社会人ドラフト5位で広島入団。プロ1年目の07年4月14日・中日戦(広島)で初出場(代打)。同年のフレッシュオールスターでMVPを獲得。16年に戦力外通告を受け引退。通算成績は315試合71安打2本塁打16打点19盗塁、打率・233。