神奈川県に住む佐々木さんは、猫と暮らしたいと思い譲渡会に参加するが、譲渡条件が厳しく、猫と暮らしたいと思ってもなかなか実現しなかった。ある時、「仏様のような猫がいる」と聞いて動物病院が主催する譲渡会に参加し、オハナちゃんに出会った。
佐々木さんは幼い頃から、いつも家に猫がいる環境で育った。子供の頃、寝ている時に腹の上で出産されたこともある。ひとりで暮らすようになってからペットを飼うことはなかったが、仕事の状況が変化し、自分の時間を作れるようになったので猫を飼いたいと思うようになった。犬が嫌いなわけではないが、生粋の猫好きなんだという。
子供の頃は、野良猫が結構いて子猫をよく見かけたが、いまは探しても簡単には見つからない。佐々木さんは、猫の譲渡会に行ってみた。しかし、譲渡の条件は、とても厳しかったという。
「もちろん生き物ですから、ある程度条件があるのは理解できます。しかし、アレルギー不可、アパート不可、独身不可、幼児不可、新婚不可、貧乏人不可、男性不可など、たくさんの除外条件があり、差別に近いものさえありました。こんな条件、クリアできるのか?と思いました」
でんぐり返しでアピール
困っていた時、佐々木さんは、隣町の動物病院に「じっと動かない仏様のような三毛猫がいる」ということを知った。
「大倉山バディ動物病院では、病院の隣のスペースで月に2回譲渡会をしているんです。保護活動と里親探しに熱心な獣医さんなんです。私は、早速その猫に会うため譲渡会に行きました」
譲渡会では、2、3カ月齢の子猫に人気が集まっていた。既に2歳半だった「仏様のような猫」は、外見は大人猫だったので、みんなあまり関心を持たなかった。猫は、あまりの人の多さにパニックを起こして暴れていた。
「仏様のような大人しい猫と聞いていたのでちょっとびっくりしましたが、私がケージの前に行くと不思議と大人しくなりました。私の顔を見上げて、でんぐり返しをしたんです。精一杯のアピールだったのでしょうか」
佐々木さんは、その猫を譲渡してもらうことにした。
幸せになったオハナちゃん
佐々木さんは、ハワイ語で「家族」という意味の「オハナ」という名前にした。オハナちゃんは、多頭飼育崩壊の現場からレスキューされた猫で、いくつかの動物病院で治療を受け里親を探していた。
「控えめな性格なので、多頭飼いされてごはんにありつけなかったのか、オハナは栄養失調でした。牙はあるのに前歯がなかったんです。瞬膜(しゅんまく)は出たままで、眼を半分覆っていました。はっきりと見えていないようで、ガラス戸に真正面からぶつかったこともあります。当時は声も出ませんでした」
佐々木さん宅に来てから1年半。オハナちゃんの瞬膜はちゃんと引っ込み、小さいが声も出せるようになった。大倉山バディ動物病院の獣医さんも、オハナちゃんの変わりように驚いていたという。
佐々木さんは、オハナちゃんの状況報告をするためインスタグラムにオハナちゃんの写真を投稿しているが、きれいに撮影するために一眼レフを購入したそうだ。ちなみにオハナちゃんのインスタを見た佐々木さんの友人は皆口を揃えて「顔がそっくりだ」と言うらしい。本物の「家族」になれた証かもしれない。
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