2羽のカラスに狙われていた子猫、偶然が重なってレスキューされる

渡辺 陽 渡辺 陽

友人にサビ猫の子猫のレスキューを頼まれて駆け付けた泉さん。ところが見つかったのは、黒猫の子猫だった。泉さんは、必死で黒猫を捕まえて保護、その後大切に育てている。

子猫を探していたら別の猫と出会う

2015年5月14日の朝、福岡県に住む泉さんのところに近所の友人から電話がかかってきた。バス停の前の道路に子猫がいてひかれそうだという。とりあえず、ひかれないように草むらに入れたが、バスに乗らないといけないので見に行ってほしいということだった。泉さんは、キャリーバッグとタオルを持ってでかけた。メールで送られた写真でサビ猫ということは確認していたが、30分くらい探しても猫は見つからなかった。

いったん帰宅し、近くに住む別の友人に電話すると、その人がベランダから周囲を見回してくれた。子猫の姿は見えないが、カラスが2羽草むらを見下ろしているという。泉さんがそこに行ってみると、黒猫がいた。黒猫は、エサを見せてもなかなか近寄ってこなかった。カラスもいるし、道路も近くて危ない。

「あまりぐずぐずしていられる状況ではなかったので、背後から近寄ってガバっと覆いかぶさるようにして抱き上げました。暴れてガブっと噛んできたけど、痛みより『早くキャリーに入れないと』と思ったんです。気が付いたら出血していました」

後に、サビ猫はバス停から電話をしてきた友人が保護したことが分かった。

カラスより大きなママが怖い?

帰宅後すぐに動物病院に連れて行ったら、500gの小さな男の子だった。猫風邪をひいていいたので、泉さんは、うちの子にするにせよ里親さんを探すにせよ、きちんと治療しようと思った。 

名前は、はなびくんにした。夏の夜空を美しく彩る花火のように幸せになってほしいと思ったそうだ。

カラスより大きなママが怖かったのか、はなびくんは、触ろうとするとシャーっと威嚇してきた。1カ月くらい怖がっていたので、バスタオルで覆わないと触れなかった。

泉さん宅には虎徹くんという先住猫がいたので、獣医師から許可が出てから対面させた。はなびくんは、虎徹くんと遊びたくて仕方がないようだった。しばらくの間、人がいる時は同じ空間で過ごし、いない時は別々の部屋で暮らした。

2匹だと楽しさ倍増

優しい虎徹くんは、一緒に遊んだり、グルーミングしたりして、親猫のようにはなびくんを可愛がった。常に虎徹くんがはなびくんの横にいたので、はなびくんをうちの子にしようと言ったら、家族も大賛成だった。泉さんのご主人の実家では猫を18匹も飼っていて、そのためご主人も大の猫好きなのだ。

いまではパパやママに甘えてくるはなびくんだが、家族の中でも虎徹くんが一番大好き。虎徹くんが鳴くとそばにすり寄ってくる。真夏だろうがなんだろうが、ぴったりくっついているという。はなびくんが虎徹くんにどんと乗るような感じで寄ってくることもあるが、虎徹くんは乗られたら乗られたで、そのまま悠然と構えている。

「いままで1匹飼いしかしたことがなかったのですが、2匹でバタバタ走り回って大運動会をしているのを見たり、はなびがごはんを食べていると、早食いの虎徹が残せ、残せと言い、残りを虎徹が食べていたりします。そういう姿を見ていると楽しいんです。2匹だと楽しさ倍増です」と泉さんは言う。

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