大切な人と「もう一度だけ会いたい」と願ったことがある人は少なくないでしょう。そんな思いが込められた漫画『「おばあちゃん」のはなし』(作:<=さん)が、SNS上で注目されています。
作者の祖母は90歳を超えても持病はなく、よく食べて庭の手入れや散歩を楽しむ元気な人でした。しかしその一方で、自身の「死」をごく自然に受け入れていたのです。
ある夜、作者は祖母が仏壇に向かい「お父さん早く迎えに来てください」と話しかける姿を目にしました。当時は思わずゾッとした作者でしたが、祖母本人はそのことについて、明るく「いつもお願いしてるのに全然来ない」と話しています。
そして、祖母が亡くなる日は確実に近づいていました。祖母の死は段階的だったと作者は振り返ります。できないことが増え、好きだった塗り絵も「手が動かなくて……なんでこんなになっちゃったかな」と悔しそうでした。
その後は車椅子生活となり、少しずつ記憶があいまいになり、作者が大好きだった昔話も聞くことが難しくなっていきます。
また入院先で誤嚥性肺炎を患った際、祖母の容態について父親から「もういつどうなってもおかしくない」と告げられます。しかし作者は、祖母が亡くなるという現実を受け止められていませんでした。
そんなある日、職場に1本の電話が入ります。それは祖母が亡くなったことを知らせるもので、突然の知らせに作者は泣き崩れてしまうのでした。
長く一緒に暮らしてきた祖母は、作者にとって特別だったのです。それでも「去る者は日々に疎し」という言葉の通り、徐々に祖母のいない日常に慣れていった作者は、それなりに愉快に暮らします。しかし祖母への「もう1度だけ会いたい」という思いは今も消えません。この思いから、作者はお盆の間になると毎夜屋根の上を見上げ、祖母の人魂を探してしまうのでした。
読者からは「涙が止まりませんでした」や「もう一度だけ話したい気持ち、とても分かります」など共感の声が多く寄せられています。そんな同作について、作者の<=さんに話を聞きました。
誰かの同じような経験を知ることが、救いになることもある
―同作の出来事から時間が経った今だからこそ振り返って感じることがありましたら教えてください。
当時の私は、入院中の祖母が危篤状態だと父から聞いていたにもかかわらず、「祖母が亡くなるはずはない」と、本気で信じていました。祖母はだいぶ高齢で、寿命は有限であることは分かっていたのですが、そのことが祖母が亡くなってしまう理由になることに、私は納得できていなかったのだと思います。
そのため、唐突に祖母の死を突きつけられたように感じ、「もう何もすることができない」という強い後悔から、「もう1度だけでも祖母と過ごしたい」と願わずにはいられませんでした。今でもふとしたときに祖母に会いたくなりますが、願うというよりは思い出に浸るという感じです。
―「おばあちゃんらしいな」と感じるエピソードを教えてください。
祖母はお盆やお彼岸、節句など、昔からの行事を大事にする人でした。私はそんな祖母がときどき話してくれた民間伝承や昔ばなしが大好きで、以前描いた漫画『おばあちゃんのはなし』でも紹介しています。
同作は、その続きとして描いたところもあるので、併せて読んでもらえたら嬉しいです。
―読後に感じてもらえたら嬉しいことがあれば教えてください。
この漫画は、自分の頭と気持ちを整理するために描いた部分が大きいです。ただ、祖母を亡くしたばかりの私自身がそうであったように、誰かの同じような経験を知ることが、救いになることもあると思います。
この話も、読んでくださった方の気持ちを緩ませる一助となれば幸いです。
<<=さん関連情報>
▽pixiv
https://www.pixiv.net/users/2378348
▽同作に登場する祖母が描かれている作品『おばあちゃんのはなし』
https://www.pixiv.net/artworks/67427748