キャッシュレス生活1週間、記者が体験してみた ポイントどれだけ還元?お得感は?

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 【2日目】還元の分、一度は昼食でぜいたくしようと5%ポイント還元店の回転ずし屋へ。1520円をペイペイで支払う。5%還元とペイペイ残高付与に加えて、後日にヤフーカード利用分のTポイントも付くのでかなりお得感がある。帰りにファミリーマートで買い物するとペイペイによるボーナス100円が当たり、キャッシュレス生活の特典を実感。200円で1ポイント付与されるTポイントも忘れず獲得する。

 【3日目】昼食は吉野家へ。1~15日に牛丼の10%引きセールを開催していて、ペイペイで支払う。中小ポイント還元店への客離れを懸念して対抗策を打ち出す大手の危機感が感じられる。吉野家ではTポイントも獲得できる。

 夕刻から会社でデスク作業。普段は夜勤者でまとめてなじみの店から出前をとるが、キャッシュレスでは支払えないので夕食はコンビニの食品で済ませる。

 最初の3日間キャッシュレスで過ごしてみると、店舗では圧倒的にペイペイの導入が多く、最も便利だった。ポイント還元は、増税分の補てんとなる感覚だったが、日々の支払いなので積み重なると大きいと感じた。

 ただ、店舗では8%と10%の価格があり、さらにポイント還元対象店も2%と5%に分かれる点は複雑だ。また、楽天ペイやペイペイ、d払いなど独自の還元サービスも多く、使いこなすにはかなりの予習が必要となる。よく理解して買い物に臨まないと、最大限に還元効果を発揮するのは難しそうだ。

 【4日目】大津市で取材のため、湖畔近くのロッテリアで琵琶湖を眺めながら昼食をしようと、持ち帰りを選択。店内飲食は10%だが、すぐ外のベンチでは軽減税率で8%となる不思議さを体感。路上でのどが乾き、自動販売機を探すが、ピタパやEdy対応機器が見つからない。キャッシュレス生活はコンビニが必須と感じる。

 夜は同僚と「餃子の王将」へ。ポイント還元店ではないが、直営の王将全店が最近クレジットカードが使えるようになった。割り勘分は現金でもらってカードで支払い、ポイントを全額分獲得する。少し後ろめたいが、幹事の特権だ。

 【5日目】休日に寄った京都駅ビルの「京都拉麺小路」の券売機でピタパが使えない。対応するICOCAがなく、泣く泣く断念。ほぼすべてのキャッシュレス決済に対応したマクドナルドに変更し、楽天ポイントも100円で1ポイント付与される。午後に出向いた市内のスーパー銭湯では、クレジットカードで購入した回数券で入場するも思わぬピンチ。下駄箱とロッカーは100円の預かり金が必要だった。後で返金されるが、緊急用にしのばせた虎の子の千円札を崩して200円を使用。ここで完全なキャッシュレス生活はついえる。

 帰宅後の買い物では、近所の数あるスーパーの中でポイント還元店のフレスコを選択。毎日の買い物となると5%還元は大きい。今後、有利な還元店と非対象店の対抗策による顧客獲得競争の展開に注目したい。

 【6日目】キャッシュレスはスポーツと相性がいい。財布は持たずにジョギング。途中で楽天ペイを使い、セブン-イレブンで水分補給。清涼飲料水のオロナミンCは税率8%、医薬部外品のリポビタンDは10%だった。夜は家族で5%還元のお好み焼き店で外食。6千円以上の会計で330円が戻り、またもやペイペイボーナス100円が当たった。

 【7日目】中京区のカレー店、ガーネッシュで昼食。5%還元に加えてペイペイ独自キャンペーンで5%が上乗せされ、800円の支払いで1割の80円が戻ってきた。同店は増税後も価格は据え置いたが、暗いムードもあって店主の吉野明彦さんは「当初2割客が減ると想定していたが、ポイント還元効果で逆に客足は伸びた。ただ、来年7月以降の反動による落ち込みが心配だ」と話していた。

 1週間のキャッシュレス生活で2万5731円を使い、キャッシュレス還元とポイントも含めて合計1227(円・ポイント)が戻ってきた。還元率は約4・7%。想像していたよりも低く感じたのは、まだ5%還元店が少ないのと、2%還元のコンビニの利用が多いのが要因のようだ。

 現金なしでも生活は困らなかったが、よく行くパン屋やラーメン屋は非対応で、10月1日の「天一の日」に定番としている天下一品にも行けず、ストレスがたまった。また気軽にお金を使いすぎる懸念もある。

 何より、最もポイント還元の恩恵を受けるべき生活弱者が使いにくい点は問題だ。カードを作れない低所得者やスマホが苦手な高齢者への公平性に疑問が残る。店舗も消費者もキャッシュレス関連の情報量で損得の格差が出てくるため、安全性のアピールも含めてさらなる周知が必要だ。

 ポイント還元は消費増税の本質的な趣旨ではない。あくまで6月までの施策で、その後の景気低迷を懸念する人は多い。最も大切なのは市民が苦心して支払った消費税が有効に活用されるのか、しっかり注視していくことだろう。

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