200年以上の歴史を持つ京都の老舗和菓子店と人気のゲームキャラクター「星のカービィ」。思いがけない組み合わせから生まれたもなかが、好調な売れ行きを見せている。今夏の発売直後は注文が殺到し、一時受け付けを停止したほどの人気ぶり。異色のコラボが若者を中心に受けているようだ。
カービィは、1992年に任天堂の携帯用ゲーム機「ゲームボーイ」のソフトとして登場したキャラクター。体に何でも吸い込めるのが特技だ。新型家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」向けでも新作が発売されるなど、現在も根強い人気を誇っている。
「カービィとコラボした和菓子を作ってみては」。そんな話が1803(享和3)年創業の和菓子店鶴屋吉信で持ち上がったのは昨年のこと。和菓子は贈答品などの用途で中高年層が好んで購入する一方、若者向けの商品が少ない。鶴屋吉信は近年、ようかんを一口サイズで個別包装して売り出すなど、工夫を重ねていた。そのさなかのコラボ商品案はまさに「渡りに船」。当初は焼き菓子なども考えたが、カービィの丸みを帯びた体形を生かせることから、もなかにした。
商品名は「カービィのまんまる手づくり最中」。通常のもなかと違い、「最中種」と呼ばれるもち米でできた外側部分と、あんを分けてあるのが特徴だ。最中種には3種類のカービィの顔をあしらっている。
6月28日にオンラインショップで受け付けを開始したところ、注文が殺到。同月限りで受け付けをいったん停止せざるを得なかった。7月7日には店舗販売を東京1カ所、京都2カ所でスタート。コレド室町(東京都中央区)にある東京店では、オープン前に行列ができた。現在も安定して人気があるという。
鶴屋吉信の担当者は人気の要因について、ゲームのキャラクターと和菓子店のコラボという「意外性が受けているのでは」と分析する。さらに「SNSやインターネット上で話題となったことも寄与していると考えられる」とみる。結婚式が増える秋に入り、「引き出物としてでも喜ばれるはず」とアピールしている。
京都では、京都駅八条口の「IRODORI」と京都駅ビルの「京名菓・名菜処[めいさいどころ] 亰[みやこ]」で購入できる。小倉あん1缶と最中種6組入りが1566円、小倉あんとこしあんの計2缶と最中種12組入りが3132円。