生活習慣を変えるだけで治る病も…まずは検診です

ドクター備忘録

谷光 利昭 谷光 利昭
定期的に検診を受けることで大病を未然に防ぐこともある(takasu/stock.adobe.com)
定期的に検診を受けることで大病を未然に防ぐこともある(takasu/stock.adobe.com)

 先日、ある研究会で私の出身地、大阪・寝屋川市の透析患者数が国内でも多く、関西医科大学香里病院の先生が市政と協力して糖尿病性腎症の増悪の防止に取り組んでいる話を拝聴しました。

 透析患者の多くが糖尿病が悪化したことで透析することになります。次に多い原因は慢性糸球体腎炎、腎硬化症。糖尿病は症状が出ないために、検診などを受けないと見逃すことが多いのです。

 合併症としては、糖尿病性網膜症からくる失明、腎障害からの透析導入、神経障害からの足の壊疽(えそ)があります。他に脳梗塞、心筋梗塞などにも大きく関わっています。多くの場合、糖尿病単独での罹患は少なく、高血圧、脂質異常症などを合併しています。これらの疾患は無症状であることが多く、治療を受けなければ悪化する一方です。

 職場検診などを毎年受けて、高血圧、糖尿病、脂質異常症を指摘されても放置する人も多いのが現状です。自営業などで検診自体を受けていない成人も多いようです。

 まずは検診して、異常を指摘されれば病院で受診していただきたい。高血圧、糖尿病、脂質異常症は生活習慣を変えるだけ治癒することも少なくないです。当院では、まず生活指導をして経過観察します。成人病の治療は投薬だけではありません。生活習慣、特に食生活を変えることは非常に重要です。薬を飲んだときと同様の治療効果が期待できることがあります。

 薬を飲むと一生飲まないといけないのですか?とよく患者さんに聞かれますが、そんなことはありません。内服と生活習慣改善の両面で治療を開始し、薬が必要なくなった患者さんはたくさんいらっしゃいます。

 ただ、いくら生活習慣を改善しても治癒しない患者さんもいます。その際は状態を受け入れて頂き、根気強く内服を続けてもらっています。体質、体格、性格などさまざまなことが絡み病気が発症します。定期的に検診を受けることが、大病の発症を防ぐ第一歩です。

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