絶好調の白石和彌監督が最新作「ひとよ」と昨今のエンタメ業界を巡る状況を語る

黒川 裕生 黒川 裕生

話題がちょい役で出演している漫才コンビ「千鳥」の大悟に及ぶと、「大悟が闇営業していないかドキドキしていました」と、撮影終了直後に発覚したお笑い芸人の闇営業問題や、昨今の映画業界を取り巻く状況に踏み込む流れに。白石監督、実は前々作「麻雀放浪記2020」の劇場公開が一時危ぶまれたことがあった。出演していたピエール瀧が、公開直前に麻薬取締法違反で逮捕されたためだ。「闇営業」を巡る活動自粛などの騒動も、決して冗談や他人事ではないのである。

「作り手としては、今はもう何をやるにもリスキーな時代だと感じます。もちろん、仕方がない部分もありますけど。でも、文部科学省が所管する日本芸術文化振興会が、ピエール瀧さんが出ていることを理由に、公開中の映画『宮本から君へ』(真利子哲也監督)への助成金交付内定を取り消したのは、本当にひどい話です。『国が薬物を容認しているかのような誤ったメッセージを与える恐れがあると判断した』なんて、その理屈が通るんだったら、例えば政権批判したから今後は助成しません、という話にもつながっていく可能性があるじゃないですか。日本って残念な国になってしまったんだなと思いますよ」

とはいえ、そんな社会状況とは別に、白石監督自身は今絶好調で、作品を発表する度にキャリアの最高点を更新し続けている。「ひとよ」のキャストをはじめ、多くの俳優から白石組へのラブコールも絶えない。

「ありがたい話で、監督冥利に尽きます。映画を撮る度に、(週刊少年)ジャンプみたいに仲間が増えていっている感じです。戦う度に仲間が増えて、最後は文部科学省と…なんちゃって、すみません、ヒートアップしてしまいました(笑)」

2020年は公開作がないが、「孤狼の血」の続編など2本の制作を予定。21年以降に順次公開される見通しだ。

「今までずっと、仕上げ、準備、公開に向けてのキャンペーンでスケジュール調整も大変だったんですけど、来年はようやく作ることに集中できる。そういう意味では、自分に期待しているんですよね。『凪待ち』『ひとよ』と落ち着いた人間ドラマが続いたので、来年はちょっと暴れ倒してやろうと思っています。『孤狼の血』の続編も任せてください。絶対に1よりも面白いものにしますんで!」

「ひとよ」は11月8日(金)からTOHOシネマズ梅田ほかで全国公開。

■「ひとよ」公式サイト https://hitoyo-movie.jp/

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