「陰険な手で虎視眈々と」「対抗馬もなく長期政権」…クマの「ボス列伝」は人間社会の縮図だった

広畑 千春 広畑 千春

 ―「生き様が既にドラマ」と話題になったボスもいました。

 「17、19代のサチオですね。幼い頃、何らかの原因で母とはぐれて“孤児”となり、道端で野良ネコに襲われていたところを保護されたんです」

 ―ネコに???

 「おそらく巣穴から出てきたばかりだったんでしょう。その頃は体重も4~5キロですから、気性の荒いネコなら簡単に襲えると思います。サチオは人工哺育を受け、釧路市動物園に保護収容された後、うちに引き取られました。大人になってからも優しいクマで、若いクマの信頼も厚く仲裁力もあり、抜群の安定感でした。今は別の場所で静かに余生を送っていますよ」

 ―現在のボスはどうでしょう。

 「サチオの後、しばらくボス不在の状態が続いたんですが、2013年からは20代目の『ダイキチ』がボスです。ただ、力は強いんですがケンカっ早く、仲裁行動もあまりない。ボスの器としてはまだまだで『恐怖政治』に近いですが、他に代わるクマがおらず、就任年数7年で歴代2位のゴンゾウに並び、歴代1位で9年連続記録のマツに近づくほど。でも欲を言えばもっと『格』を付けてほしいですね…」

 とのことでした。なんとも含蓄に満ちています。ちなみに、オスは1対1で争うのに対し、メスは集団同士でやり合うのだそうです。ボス以外のクマにも「生粋の一匹狼」とか「どこか油断できないボスの右腕」―といった紹介が記され、HPで見ることもできます。

 もちろん、クマのお話です。

■のぼりべつクマ牧場 https://bearpark.jp/

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