神戸市立東須磨小学校で起きた教員間暴力をめぐり、加害教員4人の謝罪コメントが明らかになりました。しかし、ネットでは内容に違和感を感じるとの声が続出。「謝罪ではなく、自己保身の感じがする」といった非難が止まず、Twitterには赤ペンで表現ひとつひとつを添削するような投稿も出てきています。何が問題だったのか、吉本興業時代に広報を担当し、数多くの謝罪会見を経験した「謝罪マスター」竹中功さんに聞きました。
謝罪コメントは10月16日、同校で開かれた保護者説明会で読み上げられたもの。神戸新聞の報道によると、30代の男性教員3人は「ここまで被害教員を大切に育ててこられたご家族の皆さま、このたびはこのようなあってはならない事態を引き起こしてしまい、大変申し訳ありません」「私の行動で嫌な思いを先生方にさせてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです」「東須磨小の子どもたちは、素直な明るい子どもたちなので、そこを伸ばしてほしいと願っています。ただ、私の行為はその成長の邪魔をしてしまったと思っています」などとコメント。
また、40代の女性教員は「子どもたちに対しては、こんな形になって申し訳ないです。子どもたちを精いっぱい愛してきたつもりですが、他の職員を傷つけることになり、子どもたちの前に出られなくなり、申し訳ありません」「彼が苦しんでいる姿を見ることは、かわいがってきただけに本当につらいです」としています。
しかし、謝罪コメントを見たネットユーザーからは「謝るべきは『被害教員を育ててきた家族』ではなく『被害教員本人』なのでは?」「問題は『子どもたちの前に出られなくなった』ことではない」といった指摘が続出。
特に40代女性教員のコメントに対して「被害者を苦しめておきながら『かわいがってきた』ってなに?」「相撲用語の『かわいがり』か」といった非難が集中。「驚くほど文面から反省の色が見えない」という思いを書く人も。
4人のそれぞれのコメントにツッコミどころが数多くあったことから「この内容を学校側が『受理』したという事実にも驚愕」「もし仮に反省する気がない、めんどくさいと思っているのだとしても、大人なら状況を鑑みて反省を装いながらそれなりの作文はしそうなもの」と、社会人としての資質を問う声まで上がっています。
Twitterには「『先生方』→身内向けの表現です。体外向けの表現に改めましょう」といったように、謝罪文の一言一言に赤ペンを引いて問題点を指摘する投稿も。多くの人たちがリツイートや「いいね」をしています。
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このように批判が相次ぐのは、何が原因だったのでしょうか。お笑い芸人や会社の緊急事態に向き合ってきた竹中さんは、「まだ謝罪ができる手前の段階。するべきことがあった」と語ります。
「東須磨小のケースでは、今もなお日々新たなニュースが出ている状態で、とても事態の全容が明らかになっているとは思えない。謝罪をするときには『誰が誰に何を謝るのか』をはっきりさせる必要があり、事態のすべてが明らかになっていない段階では、謝罪を重ねても何を謝っているのか分からない状況を招いてしまう。もちろん今回発表された謝罪コメントひとつひとつの表現には課題が多いが、まず『全容が明らかになっていない』ことが、不信感を強めることにつながっているのだと思う」
「怒りの読み『イカリ』を逆から読むと『リカイ』とも読めるが、謝罪のゴールは、謝る側と謝られる側双方が理解しあって次の段階に進むこと。そのためには、何が起こっていたのか、原因は何だったのか、問題を繰り返さないためにこれから何をしていこうとしているのかについて、きちんと説明することが大切だ。このようないじめが生まれた背景には、単なる人間関係だけではない、もっと根の深い問題があるはず。しっかりと過去を振り返って検証してほしい」