「死なせてはならない」必死に生き延びた子猫、元気いっぱいのわんぱく坊主に

渡辺 陽 渡辺 陽

 生まれた時から兄弟猫と一緒に暮らしていたので、社会性は身についていた。先住猫のねりごまちゃんと対面すると、「遊ぼう」と言ったが、ねりごまちゃんは6年間1匹で暮らしていたので、自分以外の猫に驚いてシャーっと一喝した。とろろくんは、すぐに空気を読んで、ねりごまちゃんには近寄らなくなったという。

 「まだ子猫なのに、猫社会のルールを学んでいるんだなあと思いました」

  とろろくんとねりごまちゃんが同じ部屋で過ごせるようになるには、半年くらいかかった。

 「家族が心配し過ぎたあまり、猫にもそれが伝わってしまったように思います。とろろがねりごまに突進すると、ダメダメー!と大声をあげてしまったのですが、余計に興奮させるだけでした。猫には猫のルールがあるので、必要以上に心配したり、大声をあげたりするのは逆効果ですね。今では反省しています」

  おっとりしたねりごまちゃんとは違い、とろろくんはわんぱくだった。ケージの外側からよじ登ったり、タンスの上から飛び降りたり、キッチンカウンターの上に飛び乗ったり。最初、星野さんは、驚くことがいっぱいあった。

  しかし、とろろくんは、自分より小さい猫にはとても優しく面倒見がいい。後から来た猫と一緒に寝て上げたり、毛づくろいをしてあげたり、おもちゃを譲ってあげたりする。

 家族の中では息子さんのことが一番好きで、いつも一緒に寝ている。息子さんがなでた時だけ、ゴロゴロと気持ちよさそうに喉を鳴らす。

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