一度は里親になることを断った子猫、何度も夢に出てきて縁が結ばれる

渡辺 陽 渡辺 陽

老人の家に出入りしていた野良猫が子猫を産んだ。兵庫県淡路島に住む前羽さんは、職場の人を介して子猫の里親を募集していることを知ったが、3匹の猫を飼っているので一度は断った。しかし、縁あって、子猫は前羽さんのもとにやってきた。

野良猫が産んだ子猫

2018年9月、おむすびくんは、猫好きのおじいさんのところで生まれた。飼い猫というわけではなく、野良猫が産んだ子だった。その家にはいろんな猫が出入りしていたのだ。ある日、おじいさんの家と隣の家の間の用水路に、3匹の子猫が挟まって出られなくなった。

動物好きの隣人が、子猫たちを保護した。その人は、日頃から保護活動をしているわけではないが、子猫たちのお母さん猫が春に子猫を産んだ時にも、里親を探したり、自分で引き取ったりしていた。今回は、生後約1か月の子猫たちを保護して、お母さん猫の不妊手術もしてくれた。 

何度も夢に出てくる子猫

前羽さんは、保護主さんと共通の知人の職場の人から「子猫の里親になってくれないか」と言われた。車庫で保護されていた子猫たちの写真と動画を見せてもらうと、尻尾がはげていて、先のほうは全く毛がなかった。しかし、やんちゃで元気そうだったという。

前羽さんは3匹の猫を飼っていたので、新しい猫の里親になるのは、一度は断った。家族会議で相談したが、やはり3匹が限界なのではないかということになった。野良猫だった猫は、病気にかかっていたり、人になれていなかったり、大変なのではないかという心配もした。

しかし、それ以降、前羽さんは、何度も3匹の家猫と白黒の子猫が仲良く遊んでいる夢を見た。

「子猫との縁があるのではないかと思い、家族を説得し、迎えることにしたんです」

運命の子猫、おむすびくん

子猫は、保護当時、誰にも触らせてくれなかったので、保護主さんが少しずつならしてくれた。

2018年11月14日、生後2カ月くらいの時に譲渡。職場の人が家まで連れてきてくれた。

「運命を感じていたので、一度も会ったことがなかったけど、大丈夫だと思いました。会ってしまったら、引き受けないという選択肢はないと思いました」

職場の人が家まで持ってきてくれたが、初めて会う前羽さんに子猫はシャーっと言った。「ゆっくり仲良くなれたらいい」と思った前羽さんは、子猫をポータブルケージに移して、そっとしておいた。ごはんはしっかり食べてくれて、トイレもできた。

名前は、おむすびくんにした。前羽さんは調理師なので、猫に食べ物の名前をつけていたが、白黒なので白黒の食べ物にしようと思った。保護主さんから職場の人に、そして前羽さんに話がころころ転がって舞い込み、縁が結ばれたので、おむすびくんにしたという。

「おにぎりは、お母さんが愛情をこめて『むすぶ』食べ物ですが、毎日ぎゅっと私が結ぶねという意味もあります。絶対に幸せにすると決めて迎えたんです」

3日目くらいに動物病院に連れて行って検査をしたが、健康状態はまったく問題なかった。少しずつ触ることができるようになり、1週間後には先住猫とも対面。先住猫はシャーっと威嚇したが、おむすびくんは、案外平気そうだった。

4匹の猫たちは、とても仲良く暮らしていて、一緒に眠る。おむすびくんは、一番やんちゃでわんぱくだ。人のことも大好きで、動物病院の診察台でもくつろいでいる。

「おおものという感じがします」

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