さいたま市内の集合住宅で小学4年進藤遼佑君(9)の遺体が見つかった殺人事件で、同居する義理の父親の無職進藤悠介容疑者(32)が死体遺棄の疑いで逮捕されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は21日、当サイトの取材に対し、悠介容疑者による犯行の手口に加え、遼佑君を殺害後も通常の生活を続ける意志があり、警察が捜索を1度打ち切っていれば、遺棄場所のメーターボックスから別の場所に遺体を移して犯罪の痕跡を完全に隠蔽しようとしていた可能性を指摘した。
悠介容疑者は17日夕方に電気や水道の設備を収納するメーターボックス内に遼佑君の遺体を放置した疑いで19日に逮捕された。捜査関係者によると、容疑を認め「殺してしまったので、見つからないように隠した」と供述。死因は窒息で、自宅からは、ひものようなものが見つかり、県警は殺人容疑でも捜査する。遼佑君は教員の母親(42)と昨年12月に再婚した悠介容疑者との3人暮らしだった。
小川氏は「時系列的に見て一番最後に遼佑君と顔が合っているのは悠介容疑者だった。警察は水曜日(18日)の事情聴取で、本人が『知らない、分からない』ということでいったん帰したが、木曜日(19日)に仕切り直しで任意の事情聴取を始め、自宅からひもや遼佑君の靴が出てきた」と経緯を説明。ひもと靴について、同氏は「メーターボックスにはその日行く予定だった英会話塾の教材が入ったカバンも入れ、靴も後から入れようと思いついたが、誰か人がいる等の理由で持っていくことができず、仕方なく室内に隠した可能性もある」と指摘した。
小川氏は、遼佑君の遺体に抵抗した跡がなかったという警察の発表に着目。「ひもで締められると当然苦しいわけですから、ひもを外そうとした際に『吉川線(よしかわせん)』と呼ばれる爪の跡が自身の頸部(けいぶ)などに残る。もしくは相手の腕や服をつかもうして、爪の間に皮膚片や繊維片が残っていることも少なくない。それが『ない』となると、突発的な犯行といいながらも、抵抗しづらいように、背後からスキを突いて首を絞めたということも否定できない」と推測した。
悠介容疑者が「(遼佑君の母親が)帰宅する午後6時が近づいてきたので、ばれないようにメーターボックスに入れた」と供述したという報道について、小川氏は「場当たり的ではあるが、殺害という大胆な犯行後において、冷静にもなれている。そうでなければ、メーターボックスなどとよく思いついたなと。遼佑君を殺害したにも関わらず、この生活は続けようとしていたはず」と心理を分析。「ですから、血痕が残る凶器を使わず、ご遺体をすぐに隠した。母親が帰って来ても、自分は全く知らない第三者を装い捜索にも参加していた。警察が捜索をいったん打ち切った後、夜中などに、ご遺体を別の場所に移動して、今度は全く分からないようにしようと考えていた可能性も考えられる」と推測した。
義父である悠介容疑者は遼佑君の母親と再婚後、約9か月間、親子関係にあったことになるが、同容疑者の存在は周辺であまり認識されていなかったという。小川氏は「教職員住宅の中にまでは入れないので同じ住宅の方には聞けませんでしたが、近所の方に話を聞くと『母子家庭だと思っていた』という方もいました」と明かした。
今後について、小川氏は「まずは死体遺棄で逮捕されましたが、犯行を認めているということですから、10日で殺人容疑で再逮捕か、あるいは20日間いっぱい使って再逮捕されるでしょう」と予測した。