部屋で怪奇現象、壁はスイッチだらけ…ホテル激戦区の京都に出現した「不思議な宿」が話題 

高野 英明 高野 英明

 国内有数の観光地・京都市では近年、訪日客ブームでホテルやゲストハウスなどの宿泊施設が急増している。そんな「お宿激戦区」に今夏、一風変わった宿泊施設が開業した。その名も「不思議な宿」。客室のネーミングも「怖い部屋」「多い部屋」「回す部屋」と謎だらけだ。ツイッターで紹介されたとたん、「そそられる」「行きてー」と話題を集めている。百聞はなんとやら。実際に訪れた。

 「不思議な宿」は、JR京都駅から市営地下鉄で一駅の「五条駅」から徒歩5分、昔ながらの町家が立ち並ぶ一角にある。見た目はちょっと大きな一軒家だ。玄関のドアを開けると、宿をプロデュースした松山雅行さん(28)が迎え入れてくれた。

 1階はカウンターとカフェの開放的な空間にしつらえられている。「そこの柱に『お柱さん』と話し掛けてください」と松山さん。不審に思いながら言われた通りにすると、「カン」とノックする音が内側から聞こえてきた。何これ? 松山さんが「私の似顔絵を描いて」と声を掛けると、「カン、カン」とノックが2回響き、上からひらひらと紙が落ちてきた。猫の絵が描いてある。「面白いでしょう」と松山さんがいたずらっぽく笑みを浮かべた。

 「そろそろですね」。腕時計に目をやった松山さんがつぶやいた。洋楽のBGMが消え、メルヘンチックな音楽が流れ始めた。なんだ、何が起きるんだ。天井からつり下がった和風の照明がついたり、消えたりしながらくるくる回る。「トイレの方を見てください」と松山さん。目を向けると、男女のサインマークが左右に踊っている。

 のっけからシュールな展開。「では客室に案内します」と促され、2階に上がった。

 最初に入ったのは「回す部屋」。壁に昔懐かしい黒電話のダイヤルが取り付けられている。回してみると、「きょうは何日ですか」と女性の声が聞こえてきた。取材日は12日。1、2とダイヤルを回すと「ちゃんと分かっていますね。素晴らしい」。続けて「私は女だと思いますか」と問い掛けが。「ダイヤルを1に回すと女、2に回すと男です」と松山さん。あえて2を選んだ。すると「どっちかというと女じゃないですか。でも性別はないんです。プログラムですから」と冷静な口ぶりで回答が返ってきた。なんだか漫才みたいなやりとりだ。

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