名前の由来は「米俵」…歩けないほど太っていた元繁殖犬のフレンチブルドッグ、ダイエットに挑戦

岡部 充代 岡部 充代

 一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)が定めるところによれば、フレンチブルドッグの標準体重は、成犬で8~14キロとされています。体長や体高にもよりますが、17キロというとかなりの“肥満児”ということになるでしょう。

 大阪・住之江区に暮らす俵君(7歳)は、今でこそ標準体重内に収まっていますが、1年9カ月ほど前は17キロの巨体でした。鋭い方はお気づきでしょうか。「俵」という名前の由来は「米俵」です。

「最初に保護犬カフェで見たとき、米俵みたいに丸々太ってたんですよね」

 そう言って笑うのは、飼い主の大谷典子さん。俵君を迎える前にミニチュアダックスのアンちゃん(10歳)、フレブルのアマンダちゃん(4歳)、同じくフレブルの小次郎君(4歳)を飼っていました。そして、「小次郎の遊び友達が欲しくて」(大谷さん)オスのフレブルの保護犬を探していたとき、目に留まったのが俵君だったのです。

 

 俵君は静岡県のブリーダーで繁殖犬として“働いて”いました。引退し、大阪の保護犬カフェに迎えられたときの体重が17キロ。ブリーダーのもとでは、恐らくケージに入れられたまま、あまり運動させてもらえなかったのでしょう。

「首輪もリードも着けたことなかったんじゃないかと思います。着けると居心地悪そうにもごもごしていましたから。それに、最初はドッグフードを食べなかったんです。怯えてケージから出てこなかったし、環境の変化も原因だったとは思いますけど、パンを見たらすごく欲しがったので、人間の食べ物をもらってたんじゃないですかね。だから、あんなに太ってしまったんだと思います。首輪は大型犬用を使って、服も犬用は入らなかったから、子供用の90センチサイズを着せていました」(大谷さん)

 

 動物病院の先生も驚くほどの肥満児だった俵君。目標体重は12キロに設定されました。17キロの犬が5キロ減量するのは大変なことです。約3割減らさなければならないわけで、50キロの人間に例えると、約15キロのダイエットに挑むことになります。

 幸か不幸か、最初の10日間くらいあまり食べなかったので少しやせましたが、それでは足りません。大谷さんは“食事”と“運動”で俵君の体重を落とすことにしました。まず、食事は食べるようになったドッグフードを量少なめに。そして、できるだけ外に連れ出すようにしました。実は俵君、太っている上に(太っているから?)足の脱きゅう癖があり、あまり歩けなかったのですが、それでも朝夕20分ずつは散歩に行きました。

「俵だけで行っていたときは歩きたがらなかったんですけど、4匹で行くようにしたら歩くようになったんです」(大谷さん)

 俵君のためにと購入したペット用のカートが、タイヤが外れて壊れてしまったのも良かったのかもしれません。まだ目標には到達していませんが、13~14キロまで体重を落とすことに成功しました。

「最近、やっと人の目をちゃんと見られるようになったんです。舌の一部が不自然に切れていたり、歯の本数が少なかったり…繁殖犬のときは大変だったみたいなので、あと少しダイエットして、みんなと楽しく過ごしてもらえたらと思います」(大谷さん)

 あと2キロ! がんばれ、俵君!

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