スーパーの格安な特売商品、それは特売用の美味しくない商品かも…働いてみて分かった仕入れ事情

平藤 清刀 平藤 清刀
揚げたてが店頭に並ぶ定番の海老天(写真はイメージです)
揚げたてが店頭に並ぶ定番の海老天(写真はイメージです)

海老といえば、海老の天ぷら(海老天)が飛ぶように売れる日がある。それが大晦日である。年越しそばの添え物用に、大晦日は海老天の特売日になる。港が見えるスーパーの予定販売本数はいつも3000本。揚げ物担当のおばちゃんが1人で揚げる。

「さすがはプロ、3000本を1人で!?」と驚かれるかもしれないが、これにはカラクリがある。「港が見えるスーパー」では、定番の海老天は、冷凍のブラックタイガーを前夜から自然解凍して、丁寧に衣をつけて揚げる。だから「天ぷらだけは、遠回りしてでも買いに来る」という、ありがたいお客さんがいてくれるのだ。

しかし3000本ともなると、手作業では追いつかない。ならば、どうするか? すでに揚げ調理された冷凍の海老天(業務用)を仕入れる。それを冷凍のまま、さっと真水にくぐらせて、160℃の油で揚げなおすのである。そうすると衣がカラっと仕上がって、いかにも揚げたてみたいな食感になる。これを1尾200円で売るのだ。

だが、しょせんは冷凍天ぷらの揚げなおしだから、あんまり美味しくない。揚げているおばちゃんも良心が痛んだのか、チーフに「こんな海老天、あかんわ」と文句を言っていた。

港が見えるスーパーの他部門で働くスタッフたちも、大晦日に売られる海老天の正体を知っているから、自分の店では買わない。水にくぐらせて揚げなおした冷凍海老天を、1尾200円も出して買うくらいなら、冷凍食品コーナーにある、レンジでチンするだけの海老天が美味しくて安上がりだ。

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