痛風になりやすい夏 プリン体が含まれていない蒸留酒ならOK? 医師が説明

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
夏は痛風にご注意を(k_katelyn/stock.adobe.com)
夏は痛風にご注意を(k_katelyn/stock.adobe.com)

 その日、私は右膝の激痛で目が覚めました。足が動かない!家族4人で川の字になって寝ており、妻は一番遠くにいたのですが、移動する際に足を踏んだに違いないと這って階段を下りて問いただしましたが、足を踏んづけたり、叩いたりしていないとのことでした。場所が“典型的”なところではなかったので判明するのに時間がかかりましたが、それが私の痛風デビューでした。

 前日に、串カツをたらふく食べ、ビールを痛飲したあとに、気持ちがいいので大阪の難波から北浜まで歩いた記憶があります。

 痛風は太古からある病気で、医療の父として知られるヒポクラテスの時代から報告されていて、さまざまな著名人も苦しんだ有名な病気です。日本では、明治26年(1893年)に第一例が報告されています。

 肉や魚に多く含まれるプリン体が体内に取り込まれて、代謝された最終産物が尿酸となります。この尿酸が体内で過剰となり、針のような結晶となり関節内で暴れて強い痛みを引き起こします。多くの患者さんは足の親指に症状が出現しますが、足首、膝などの関節にも痛みは来ます。

 痛風は男性に多く、女性にはあまり認められません。尿酸値が高いからといって必ず痛風になるわけではありませんが、尿管結石、痛風腎からの腎不全を惹起する可能性がありますので、尿酸値が高くて無症状の人でも注意が必要です。

 プリン体の多い食事を控え、飲酒を制限しなければなりません。禁酒が一番望ましいのですが、受容して頂くことが困難なので、プリン体がほとんど含まれていない蒸留酒をお勧めしています。ただし、アルコール自体にも尿酸を上昇させる作用があるので蒸留酒だからといって飲みすぎは禁物です。

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