新型コロナを数字から見ると…我々の周りにある“怖い病気”に改めて気付く

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
新型コロナにはまだわからないことがたくさんあります(vegefox.com/stock.adobe.com)
新型コロナにはまだわからないことがたくさんあります(vegefox.com/stock.adobe.com)

 コロナ禍での夏休みですが、私の心の中の雰囲気があまりよくありません。帰省している人の家に誹謗中傷のビラがまかれたり、感染した人が誹謗中傷されてそこに居られなくなったり…病気以外のことで我々日本人は病んでいるようにさえ思います。それにしても、数字だけ見れば本当にここまで大騒ぎをしないといけない病気なのか?と考えてしまいます。新型コロナウィルスを軽く見ているわけではないことをご理解いただき、以降を読み進めてもらえればと思います。

 これから示すデータは、厚生労働省のホームページを参照したものです。新型コロナの陽性者数は8月8日0時の時点で4万5439人です。ここで大切なことがあります。皆さんもよく理解していただきたいので、よく読んでください。この陽性者数というのはあくまでも検査で陽性が出た人数の事で感染者数とは違うのです。「なんでやねん!」と思われるでしょう。

 検査で陽性が出た人でも、コロナウィルスが咽頭、鼻腔に付着していただけの人は単なる陽性者です。しかし、そのコロナウィルスが生体防御機構を破って体内に侵入し、さらに増殖して、人体を苦しめるという状態が感染ということになります。ですから、「陽性」と「感染」は違うことを理解してほしいのです。

 では、上記の陽性者4万5439人のうち、入院や治療が必要な患者はどれくらいかというと1万2954人です。これは、自宅で治療している患者の数も含まれます。陽性患者数の28%で全体の約4分の1になります。すなわち4分の3の人が陽性でも治療が必要ではないということです。また、注意してほしいのですが、入院というと人工呼吸器を使ったり、対外型膜型人工肺(ECMO)を使ったりというやや大掛かりな治療を想像しがちですが、投薬治療のみの患者さんの方が多いと思います。なぜなら、その際の重症患者の数は140人だからです。

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