これがタピオカブームの最終形態なのか タピオカ漬け丼実食レポート「見た目は?味は?」

北村 泰介 北村 泰介

 開発した羽生店長に経緯を聞いた。

 「どっちかというと僕は流行を追いかけない人間なんですけど、あまりにも『タピオカ、タピオカ』って世間で言われていることに『こんちくしょう』と思って、タピオカを食材にしてメニューにすることはできないかと。最初はミルクティーとかに入っている大きくて黒い『ブラック』と呼ばれるものしか頭になかったんですけど、調べてみると、小粒で白い『パール』と呼ばれるものがあり、こちらの方に目を付けた。最初はご飯ものは全く頭になかったんですが、茹で上がると透明になる粒に味付けできるんじゃないかと。粒の大きさからいくらみたいなものが作れないかと。初めて試作した時は『これ、ご飯にかけて食べるの?』って自分で思いましたが、試食したら『あれ!食べられる』って(笑)」

 実際に食べてみた。タピオカはイモノキ属の熱帯低木「キャッサバ」の根茎から製造したデンプンで無味なので、漬けダレが命となる。冷やしのそばなどに使うもり汁に富士そば特性の「かえし」(しょうゆに砂糖、みりんを加えて寝かせた、そばつゆの元になる調味料)を加えた味付けがよくしみ込み、白米とよく合う。パールのタピオカは素材が2~3ミリで、茹で上がりが5ミリ。実際のいくらより小さい。いくらのプチプチ感はなく、モチモチ感なのだが、ドリンクに入った黒タピオカほどの弾力はなく、米粒と共にスルッと滑り込んでいく。

 羽生店長は「9割9分のお客様が写真を撮られています。ちょっと食べて『こういう感じなんだ』ということで返される方もいらっしゃいますが、完食していただけるとうれしいですね」。同店は、靖国通りと明治通りが交差する「新宿5丁目」という人通りの多い交差点の一角にあるため、通りすがりに券売機の当該ボタンの写真だけを撮っていく人もいるという。

  気になる今後の展開も聞いた。発売当初は8月中での販売終了を考えていたというが、話題を呼んだため「いつまでというのは未定です」(同店長)。同チェーンでは各店舗の店長が独自のメニューを考案。羽生店長はこれまで「カレーなる冷しゴーヤとろろそば」といった「カレーなるシリーズ」を生み出したが、タピオカ丼に端を発して「『〇〇風』という『なんちゃってシリーズ』を今後もやっていけたら面白いかなと思っています」と明かす。

 券売機に表示はないが、オーダーすればタピオカ丼の単品(320円)も注文できる。「仕込みも大変なんですよ。仕入れが追い付かない可能性も出てきた。今後、他にもやりたい店舗が出て来る可能性はあるかもしれません」と同店長。タピオカブームの「最終形態」となるのか!? しょう油ご飯と化したタピオカの粒々をかき込みながら考えた。

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