動物病院には、犬や猫を病院で飼っているところがあります。身体に障害があり飼い主さんが見つからない場合もありますし、治療に来る動物に輸血が必要な時に備えて、血液を提供する『供血動物・供血猫・供血犬』として飼われている場合があります。
障害があっても、若い元気な猫であれば、供血猫として血液を提供してもらうこともあります。もちろん病院を訪れるほかの飼い主さんの癒しになったり、スタッフの採血の練習台になってもらったりもしますが、病院にいる猫は、基本的には入院ケージの中で暮らすことになります。そういった点でも、私はまだ若くて遊びたい盛りの子猫を病院で飼うことに、抵抗がありました。
そして何よりも、ハク太郎は整形外科手術の得意な病院に連れて行って手術をすれば、その後は不自由なく過ごせるはずだと、私は確信していました。しかし、ハク太郎が手術を受けるためには、誰かの飼い猫になるしかありませんでした。私はハク太郎を「誘拐(!)」して自宅に連れ帰り、 飼うことにしました。
ハク太郎は自宅に連れ帰った2日後に、以前からお付き合いのある整形外科の専門動物病院へ連れて行き、無事に手術を終えました。小さい小さい身体なのに、手術には4時間もかかりました。先生方を始め病院のスタッフもですが、ハク太郎も頑張りました。
後日、勤務先の院長先生には「誘拐」した事情を話して謝り、許していただきました。
今ではすっかり普通の猫になったハク太郎ですが、高いところにジャンプは出来ません。また、猫にはトイレの後、特に排便をした後に、やたらテンションが上がり、走り回ったり、勢いよく爪とぎしたりする「トイレハイ(ウンコハイ)」という行動が見られることがありますが、ハク太郎の場合はハイの状態がとても激しくて…。おそらく今は快便の喜びを咬みしめ、喜びもひとしおなのだと思います。