高齢者が特殊詐欺にあう被害が続発しているが、昭和のプロレス界で〝過激な仕掛人〟と称された新間寿氏は「〝高齢者〟とはある年齢になればそうなるものではなく、精神のありようによるもの。研ぎ澄まされた感覚で被害を防げる」と訴える。今年、84歳になった新間氏に話を聞いた。
新間氏は新日本プロレスの営業本部長として、1976年のアントニオ猪木VSモハメド・アリ戦や83年から実現した新日本のIWGP構想などの功績をマット界に残した。今春、世界最大のプロレス団体「WWE」の殿堂入りをレガシー部門で果たした同氏。このほど、都内で盟友の初代タイガーマスク(佐山サトル)と共に特殊詐欺防止についての講話をした。
「ある詐欺軍団は『私たちはタンス預金を世の中に出しているんです』と正義の味方のような顔で言い、『顧問になってください』などと私に言ってきた。こういった連中の特殊詐欺に対しては、研ぎ澄まされた感覚で防いでほしい。70~80代を世間では『高齢者』と呼ぶが、希望を失っていない限り、高齢者ではありません」
そう呼びかけた新間氏は、健全な肉体に若さは宿るというスタンスから、80代半ばになっても屈強な肉体を維持している鍛錬の日々を明かした。
「私は昭和10年生まれの84歳ですが、ヒンズースクワットを毎日100回、腹筋は毎日400~500回やっている」。それだけハードなトレーニングを日課としてこなせる背景には気持ちの若さがあるという。「希望と共に青春があり、失望と共に老いがある。『青春』とか『高齢者』という言葉は、年齢によるものではなく、精神のありようです。失望がなければいつまでも若い。私には失望がない」