元掛け子が語った!海外拠点の詐欺グループが高齢者を狙う手口 小川泰平氏が直撃

小川 泰平 小川 泰平
小川泰平氏は元掛け子を直撃した(takasu/stock.adobe.com)
小川泰平氏は元掛け子を直撃した(takasu/stock.adobe.com)

 海外を拠点とした詐欺クループが日本の高齢者をターゲットにしている。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は8日、デイリースポーツの取材に対し、実際に中国で「掛け子」(詐欺電話を掛ける役)をしていた都内在住の男性を直撃インタビューし、その知られざる実態を詳細に明かした。

 「金に困っていた」というA氏は数年前に中国人に誘われ、中国・福建省のタワーマンションに滞在して掛け子等をして2か月で約350万円を稼いだ。飛行機代などはグループが負担。当時10代後半から50代半ばの掛け子6人が個室で生活し、朝になると詐欺用の電話機が部屋に設置され、電話先の名簿とマニュアルが渡された。その日の仕事が終わると電話機は部屋から持ち去られたという。

 掛け子の1日について、A氏は「平日は日本時間午前9時から、銀行の窓口が閉まる午後3時までが仕事の稼働時間。1日約100~120件。昼休みなし。土日祝日は休み。食事は毎週月曜に6~7000円渡され、朝は中国人がファーストフードを持ってくる。昼食は出前。夜は自費で外食だがマンション下の店で一杯200円のラーメンを食べるくらい」と振り返った。

 警察官役が「犯罪に使われている銀行口座をロックするので指示に従ってください」と伝えた後で、銀行協会役が「ロック解除にあたって口座から現金を引き出してください。人を向かわせるので、おろしたお金を渡してください」とし、「受け子」が来る。A氏は「マニュアルをしゃべるだけ。自分が犯罪仕事をしている感覚は少なかった」という。

 小川氏は「仕事が終わると、掛け子は『なんでうまくいったの?俺はいつもそこで電話切られるんだよ』などと自発的に“反省会”をしていたそうです。被害者の顔も現金も見ないので罪悪感がなく、ゲーム感覚だったようです」と指摘。A氏は「6年くらい“掛け子”をやっているベテランもいて、警察官役、銀行協会役の二役を1人でやっていた者もいた」という。

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