祇園祭の宵々山にノスタルジックな映画はいかが? 京都の路上にスクリーン登場、どこか懐かしい光景に

京都新聞では書けない

浅井 佳穂 浅井 佳穂
スクリーン1で上映される「タクシードライバー祇園太郎 THE MOVIE すべての葛野郎に捧ぐ」の一場面(祇園天幕映画祭実行委員会提供)
スクリーン1で上映される「タクシードライバー祇園太郎 THE MOVIE すべての葛野郎に捧ぐ」の一場面(祇園天幕映画祭実行委員会提供)

 京都の町中が祇園祭の熱気に包まれる7月15日夜、目抜き通りにあたる四条通で一夜限りの映画祭が開かれる。路上に張ったスクリーンにドキュメンタリー作品や70年代のニュース映像などを映し出す、どこか懐かしい趣のある催しだ。「コンチキチン」の音色で知られる祇園囃子を遠くに聞きながら、ノスタルジックな雰囲気に浸るのはいかがだろう。

 京都市東山区の祇園地域を会場とする「祇園天幕映画祭」。地元の祇園商店街振興組合や、同区の映画制作会社「月世界旅行社」などでつくる実行委員会が毎年、祇園祭の前半にあたる「前祭[さきまつり]」の宵々山に催している。

 始まったのは2008年。京都造形芸術大にこの年、映画学科が設置され、初代学科長に就任した映画監督林海象さんが提唱したのがきっかけだ。当初は同大学の学生作品が多かったが、近年は京都のニュース映画や地元ゆかりの劇団「ヨーロッパ企画」の映像作品を中心に上映している。

 当日は、四条通縄手西入ルに縦約3メートル、横約2メートルの「スクリーン1」、四条通花見小路西入ルに縦約2メートル、横約1メートルの「スクリーン2」を設置し、午後7時半に開演する。スクリーン1では、地元の染色作家吉岡更紗さんと文筆家高橋マキさんが京都での日常生活を自ら撮影した「私のきょうと記録」や、ヨーロッパ企画による紙人形ドラマ「タクシードライバー祇園太郎 THE MOVIE すべての葛野郎に捧[ささ]ぐ」を映写する。

 スクリーン2では、オーストラリア映画「12歳の女の子についての入門書」を上映。地元の小学生たちがその場で吹き替えをするというユニークな試みも行われる。また、70年代の京都の様子を収めた「京都ニュース」を流すほか、「血煙高田の馬場」などの無声映をタレント大森くみこさんのナレーションで楽しむプログラムもある。

 実行委員会の発起人の1人で「月世界旅行社」の岡本建志さん(43)は「活動写真弁士や小学生による生吹き替えなど、路上での上映ならではの取り組みを盛り込んでいる。野外上映の楽しさを知ってもらえれば」と話す。雨天時は四条通花見小路西入ルの菓子店「鍵善良房」で上映する。

 7月14日深夜まで、運営資金の支援を募るクラウドファンディングを実施している。祇園天幕映画祭のホームページ http://giontenmaku.main.jp/ から応募できる。

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