ただ、紙の最大の弱点は、やはり水に弱いということだろう。なんとかプラスチックを使い続けることはできないか、ということで開発が進んでいるのが「生分解性プラスチック」だ。プラスチックによる海洋汚染の最大の問題点は、海に流出した廃プラスチック(プラごみ)が分解しないということ。そこで普通のプラスチックのように使えるにもかかわらず、使用後は自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されて自然にかえるのが生分解性プラスチック。バイオプラスチックとも呼ばれる。通常のプラスチックほど安価というわけにはいかないが、製品化も進んでいる。
関心が高まっているのは三菱ケミカルホールディングス(4188)だ。同社傘下の三菱ケミカルが開発、基本特許を持つ生分解性プラスチックの資材を使って、ストローを開発。京浜急行電鉄(9006)グループの観音崎京急ホテル(神奈川県横須賀市)などで4月から使われている。カネカ(4118)やユニチカ(3103)なども、すでにストロー用素材を実用化しており、小売店などで使用が始まっているという。
川崎重工業(7012)傘下の商社である川重商事は生分解性プラスチックが素材のストローを、プロントコーポレーション(東京都港区)に納入したと発表するなど、生分解性プラスチック製品が流通する動きが広がりつつある。ストローの市場自体は大きくないが、これをきっかけに包装材で生分解性プラスチックの活用が進むなら、意外に早いスピードで普及する可能性もありそうだ。