日本独自の水泳帽子はなぜ「安全」なのか?小学校の授業導入から50年 

北村 泰介 北村 泰介
授業での導入から半世紀を記念し、展示されている学童水泳帽子=東京・墨田区緑の「フットマークギャラリー」
授業での導入から半世紀を記念し、展示されている学童水泳帽子=東京・墨田区緑の「フットマークギャラリー」

 実はこの水泳帽子、おむつカバーから派生したのだという。同社の広報担当は「弊社は元々、赤ちゃんのおむつカバーをつくっていた会社でしたが、夏場になると売れ行きが落ちるため、売上の打開策として同じ素材、縫製技術が生かせた水泳帽子の開発をしました。まだ、学校で水泳帽子をかぶる習慣はありませんでしたが、ちょうど全国にプール授業が始まった時期で、水泳指導の便利さや安全性をうたい、全国で営業活動を行っていきました。要は事業の転換を迫られて作ったのが『水泳帽子』でした」と説明した。

 授業での「全員着用」は日本独自で「水泳帽子をかぶる風習は日本にしかない」と学術的にも指摘されているという。そのメリットは「安全面と衛生面」だという。「安全面」について、記者はよく勢い余ってプールの壁に頭をぶつけていたが、そんな衝突時、薄い布であっても多少はダメージを薄める〝緩衝材〟になるのではという仮説をぶつけてみた。まったく、違っていた。

 担当者は「 プールで潜ると髪の毛の黒はなかなか見分けがつきません。ですが、水泳帽子をかぶり、明るい色が見えれば、そこに何人、人がいるかということが視認できます。万が一、溺れている人がいても目立って見つけやすいです。そういった面での安全性です」と説いた。なるほど、プールサイドの先生ら大人が子供を認識しやすくて安全だという意味だった。

 「衛生面」については「単純に帽子をかぶれば髪の毛が抜けないので衛生的ということです。帽子をかぶっていても、ろ過装置にはたくさんの髪の毛がたまっています。それを少しでも軽減する役割があります。髪が抜ければ、水の汚れも早まります」と付け加えた。

 同社の累計販売枚数は1億750万枚。水泳帽子はそれほど日本に浸透している。

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