映画は今どき珍しいほど、オーソドックスで端正な雰囲気に仕上がっている。自身は「下手」と評した井手の演技も、この作風には絶妙にマッチしており、誠実さを感じさせる佇まいが、地元を代表して鉱山と折衝する主人公・関根三郎の人柄に不思議な魅力を加えている。
「俳優としてはまだまだ不器用だけど、今後は映像の世界でもさらに活動の幅を広げたい。スルメのように、噛めば噛むほど味が出るような俳優になれれば」
ちなみに井手の両親は神戸出身。いずれも兵庫高校で演劇部に所属していたという。また祖母は2人とも神戸で健在で、井手自身、幼いころから何度も訪れるなど実は神戸とは縁が深い。OSシネマズ神戸ハーバーランドであった舞台挨拶には、親戚も駆けつけてくれたという。「満員御礼の挨拶でまた神戸に帰ってこられるよう、長く愛していただけると嬉しいです」
■「ある町の高い煙突」公式サイト
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