世にロックバンドは数あれど、メンバー4人全員が兄弟というケースは世界的にも珍しいと思われる。岩手県二戸市出身のSaToMansionのメンバーは、長男・佐藤幸城(ベース)、次男・英樹(ドラムス)、三男・和夫(ボーカル、ギター)、四男・伸之(ギター)の4人だ。2016年にデビューアルバム「the room」を発表し、ミッシェル・ガン・エレファントやザ・イエロー・モンキーなど、1990年代のロックバンドに通じるシャープなサウンドを聴かせた。スポークスマンで作詞作曲を担当する和夫に話を聞いた。
ついにその時が来た
きっかけは幸城だった。
「長男が音楽を始め出すじゃないですか。ミスチルの『花』って曲をアコースティックギターで弾き出して、小学生の僕らは感動したわけですよ」
兄弟は次々にバンドを始め、「東京に行かなきゃ始まらない」と次々に上京。最初は違うバンドにいたが、次々に解散や活動休止を迎えたことで「兄弟でバンドをやったら面白いんじゃないかという頭はずっとあって、ついにその時が来たんじゃないかな」と兄弟で組むことを決断した。
和夫は「ケジメとして、これでダメだったらもうダメ。最後のチャンスだったし、売れようと思って組んだ」と率直に明かす。バンド名は、兄弟全員が同じマンションの同じ部屋に住んでいたことから命名した。
兄弟バンドのメリットは「他人じゃないので、特に気を遣うこともない。意外にドライなので、ストイックに音楽だけに集中できる」という点。デメリットは「友達同士のエネルギーってあるじゃないですか。ノリっていうか、新鮮さ、新しいメンバーが入った時の無敵感、ああいうのはこのバンドにはまずない」点だという。
11月7日には2年ぶりのセカンドアルバム「the garden」をリリースすることが決定。既に地元・岩手ではテレビや新聞に取り上げられて存在感を増しているが、それを全国区に広げようと奮闘している。(デイリースポーツ・藤澤浩之)