HIROさんの指導で、「ランニングマン」などの基本ステップから始めた4人。踊るのは楽しく、ステップを踏んでいると、悩まされていたひざや腰などの痛みが改善されていった。地元のイベントなどにも出演し、ダンスを楽しんでいたところ、19年1月、HIROさんから「着物を着て踊りませんか。レディー・ガガみたいな感じで」と提案された。
「彼女たちはノリがいい。ディスコダンスで妖怪の町をPRすれば面白いな、と思いました」とHIROさん。「今どきの60代は、(体が動きにくくなり)あきらめている人もいるが、ディスコ世代でもある。彼女たちには、地域のそんな人たちを引っ張る存在になってほしい」。
4人は、HIROさんの提案に乗った。HIROさんは、ディスコダンスをベースに、小道具の扇子が生きるようWAACK(ワック、しなやかな腕の動きなどが特徴的なダンス)を取り入れた振付を考えた。
「振付の練習では、まず足の形を覚えて、次は手の形を覚えて。それから組み合わせてと、一つずつ覚えていきました」とKEIちゃん。HIROさんから「もっと妖怪みたいに!」と発破をかけられる日々が続いたが、4人は「楽しかった」と振り返る。
衣装は、古い着物をリメイクして制作。初めはおとなしめのテイストだったが、LINEで相談するうちに物足りなくなり、ラメなどのキラキラパーツを盛っていった。
そして19年4月、桜の時期を狙って、辻川山公園で動画を撮影。ウィッグが脱げたり、靴がはまったりするハプニングはあったものの、楽しく踊れたという。動画の出来にはおおむね満足しており、周りの人たちからも「元気が出る」などと好評だ。
ふと、動画のテロップ「but we’re not yokai.」についてどう思うか聞いてみた。すると、「ほんまは妖怪の親せきでかまへんで。(カッパの)ガジロウのおばちゃんという感じでも。その方がはっちゃけられるしね」(百合ちゃん)と返ってきた。さすが、人生経験の豊富さゆえか、懐が深い。格好いいわ。
ZIGGY Bは、現時点では町は非公認。HIROさんは「住民らの勝手なPR活動ではありますが、妖怪はグローバルなコンテンツ。彼女たちには、ガジロウ並みに『会いに行きたい』と思ってもらえるキャラクターになってもらいたい。世界に通用するババアになってほしい」と語る。ゆくゆくは特撮風のガジロウ着ぐるみとのコラボレーションも、と期待が膨らむ。
そんなHIROさんの思惑を知ってか知らずか、メンバーたちも「今さらなくすものもないので、楽しければいい。シニアダンサーをもっと増やしたい」と前向きだ。HIROさんは、次作では「バラバラなパラパラダンス」を考えているという。播磨のおばちゃんたちがにぎやかに送る、スタイリッシュなダンス動画は、世界に届くのか。
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◆ユーチューブで公開されている動画「wellcome to yokai town」
https://www.youtube.com/watch?v=Mpc6MmwJuYI&feature=youtu.be&fbclid=IwAR3GeP6w8FMkJMQNhhsyyvaN72PlI-L0mP3xGVpiyeHzNYZJW8jYAEoIHw0