おばあちゃんの手が上がった! 元保護猫との触れ合いで

岡部 充代 岡部 充代

 また、以前は車椅子から立ち上がるのがやっとだったのが、スタッフに見守られ、自力でベッドへ移れるようにもなりました。もちろん、理学療法士やケースワーカーの献身的なお世話があったからだとは思いますが、「シロとトラが一助になったのは間違いない」とスタッフは口をそろえます。

 膝の上のシロをなでながら、大山さんが笑顔で教えてくれました。「生き物は温かいでしょう? 柔らかくてきれいだし、なでていて気持ちがいい。この子たちが来てくれて、施設が賑やかになりましたよ」。笑顔は大山さんだけでなく、入居者全般に増えたそうです。しかも“満面の笑み”が。

 実は、シロとトラには頼もしい“先輩”がいます。柴犬・いおり。2匹よりも5カ月早く施設に来ました。専用ルームでともに暮らし、じゃれ合うほどの仲の良さです。そんな先輩が入居者たちと穏やかにふれあう姿を見ているからでしょうか、「シロとトラは入居者さんに異様にやさしい」(スタッフ)のだとか。爪を立てたり「シャーッ」と威嚇したりしたことは一度もありません。

 家で過ごしているような感覚で生活してもらいたい、というコンセプトに基づいて迎えられたシロとトラ。日本でも増えてきたセラピードッグは犬ですが、猫もその役割を果たせることを2匹は証明してくれています。命を救われた恩返しをしているのかもしれません。

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