“脱ゆとり世代”の試練…「置き勉」禁止、重いカバンで腰痛に悩む小中学生

北村 泰介 北村 泰介

 重いカバンで小中学生が腰痛に悩まされているという。2011年度から「脱ゆとり教育」に方向転換され、いわゆる“ゆとり世代”には許されていた「置き勉」、つまり教科書など勉強道具を学校に置いて帰ることが禁止されているからだ。

 帰宅後も宿題をしなければならないため、教科書などが入った重いカバンを背負って通学、下校する。その重量は平均でも10キロを超えるという。この「10キロ問題」と称される課題をどう克服していくか。5月に開催された「第1回 学校施設・サービス展」(東京ビッグサイト)で業者の取り組みを聞いた。

 中学生の場合、国数理社英5科目の教科書、ノート、プリントを収めたファイル、資料集や問題集、水筒、体操着、給食がない学校は弁当…。10キロ以上の荷物は体にこたえ、肩にめり込む。特に1年生は体格的にきつい。

 その解決策として、体への負荷を軽くするリュックサック型のカバンが展示された。スクール水着の製造や販売の最大手である「フットマーク」(東京都墨田区)が昨年12月から発売する「ラクサック」という商品だ。

 担当者は「ブックストラップで教科書の束を背中に固定して負荷を最小限に抑える。体格に対応できるショルダートラップで肩から体への負荷を軽くする。型崩れしないクッション構造でカバンの重心を安定させる」と、3つのポイントを説明。歩く時に、教科書がカバンの中でバラバラに揺れ動いている状態より、ギュッと1点に固定して背中に密着させる方が力学的に軽くなるというわけだ。

 小学校はランドセルがあるため、中学校がメーンとなり、4月からの今年度では山陽エリア(岡山県や広島県)の中学6校が学校指定カバンとして導入した。担当者は「地方の学校では徒歩で3~4キロ通学することもあり、重いカバンでは相当、体に負担が掛かる」と、都市部より、交通機関のない地方に需要があると指摘した。個人でも購入できる。

 では、小学生はどうか。脱ゆとり教育でイスに座る時間が長くなり、姿勢の悪さから腰痛となって整体に通う子どもがいるという。

 福祉用具、介護用品の製造、販売などを展開する「ピーエーエス」(大阪府箕面市)が昨年3月から発売している「ピントスクール」は、硬い木製イスのお尻と背中にあてるクッション。座面部だけでなく、この背面部がポイントだ。実際に座ると、背筋が伸び、メモを取る際の手や肘、肩が軽く感じた。担当者は「大阪市内で2校導入され、『姿勢が治る。体が楽になった』という声をいただきました」と明かす。

 「ピントスクール」は背面部のクッションを外して頭にかぶると防災頭巾にも変身。腰痛とは別の付加価値も備えられている。

 新たに浮上してきた“脱ゆとり世代”の試練。解決への動きは今後もあらゆるジャンルで起きてきそうだ。

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