スマートフォンの操作だけで人気店の料理が届くフードデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」が今春、大阪市内の一部地域でスタートした。専用アプリをダウンロードして同サービスに登録された「レストランパートナー」と呼ばれる店舗の中から注文し、配達してもらう。配達するのは店舗の従業員ではなく、同サービスに登録した「配達パートナー」が担う。クレジットカードで決済し、現金のやり取りは一切無い。従来の“出前”とは一線を画す新しいシステムは、食いだおれの街で本領発揮となるか。
出前といえば寿司、ピザ、丼物が代表的だ。最寄りの店に電話をして配達してもらい現金で支払う。食べ終わった器は後日引き取りに。こんな風景は徐々になくなっていくのだろうか。
「Uber Eats」には各種店舗が登録されている。和食、イタリアン、フレンチ、デザートなど幅広く、専用アプリをダウンロードすると画面にはUber Eatsに登録した店舗が表示される。その中から選んで注文し、クレジットカードで支払完了。到着予定時間、配達状況がリアルタイムで確認でき、容器は返却の必要はない。
マクドナルドなどの大手チェーン店をはじめ行列のできる人気店、個性的な地元店の料理までが自宅やオフィス、公園など好きな場所で食すことができる。ユーザーにとって便利なのはもちろん、店側も配達要員を独自に確保する必要がなく、初期投資、契約料なしでデリバリーサービスを始めることができる。
このほど行われた発表会見で、Uber Eatsアジア太平洋地域統括部長のラージ・ベリー氏は「まさにインターナショナルからローカルまでユーザーの選択肢は広がる。レストランにとっては追加投資無しで新しい顧客の確保ができ、データ分析からビジネスを伸ばすきっかけにもなる」と可能性の広がりについて語った。
ウーバー・ジャパンのシニアマーケティングマネジャー、治田耕一さんは「このサービスはネットショッピングの感覚に近いのではないか。スマホの画面には配達パートナーの顔写真が出るので、どんな人が届けてくれるのかが分かり、GPSで常に配達パートナーの現在地が表示されるので安心」とそのメリットを挙げた。
「配達パートナー」は登録制で、学生や主婦、収入を増やしたい人のダブルワークにも利用されているという。登録には身分証明の確認、審査がある。専用の保冷・保湿バッグを使い、運送事業登録された自転車、原付きで配達する。
Uber Eatsは2015年12月、カナダのトロントで始まり、現在は世界35カ国で展開中。日本では2016年9月に東京で始まり、昨年11月に横浜でもスタートした。東京、横浜合わせてレストランパートナーは2000店以上、配達パートナーは1万人以上という。
国内3都市目となる大阪では北区、中央区など市内10区を含む一部地域で4月26日に開始。ケンタッキーフライドチキン、堂島スウィーツ、お好みたまちゃん、ジョニーのからあげ、○△□(まるさんかくしかく)など250以上のレストランパートナーが名を連ねる。大阪のソウルフードであるお好み焼き、たこ焼きの店もある。営業時間は午前9時~深夜0時(各店によって異なる)。今年中には京都、神戸で展開していく予定という。
同社広報担当は「これまで特に大きなトラブルなどはない。細かな要望などはその都度アップデートしている。仕事終わりに注文し帰宅する頃に料理が届く、という使い方もある。忙しい人に最適といえる。デメリットを挙げるとするなら、選択肢が多すぎて選ぶのが大変だということでしょうか(笑)」と自信をのぞかせた。ただ、売上額等については公表していない。
会見に出席したタレントの堀ちえみはすでに利用しており、「東京での会議の時、ウーバーイーツを利用して海鮮丼を注文した。時間を逆算して待つことができて便利だった」と体験談を披露。「うちは家族が多く、このシステムがあれば『家に集まろうよ』と気軽に声をかけることができる」と利便性を指摘した。