バレンタインの時期でチョコレートへの関心が一段と高まる中、大阪市鶴見区の植物園「咲くやこの花館」では「カカオとコーヒー展-たわわな姿をありのままに-」が開かれ、多くの人が訪れている。2月25日まで。
私達が普段口にしているチョコレートとコーヒーは、どちらも身近な嗜好(しこう)品であり、熱帯の植物が主原料になっているという点も似ているが、実の形や製造過程などは大きく異なる。このイベントでは、工夫を凝らした展示やライブ解説、温室の植物をたどるクイズラリーなどを通じて両者の共通点や違いについて基礎から学ぶことができ、それぞれの特徴がより明確にわかるようになっている。
同館のカカオとコーヒーの木は、人の目の高さに合わせて背が低くなるように鉢植えで育てられており、たくさんのカカオの実が幹から直接なっている様子や、実の色の変化などが間近で見られる。1日3回のライブ解説ではチョコレートを作る過程でできるカカオニブスの試食もあり、併設のカフェでは特別メニューのコーヒーやホットチョコレートなどを味わうことができる。
スタッフの岡内美紀さんは「植物園としての最大の魅力は、本物のカカオやコーヒーの木を実際に見てもらえることです。解説を聞いたり、味や香りを体感することで自然と知識が身につくので、さらに興味を深めることができます」と話す。
より多くの人に興味を持ってもらえるよう、インターネットの公式動画チャンネルでは、食虫植物「ウツボカズラ」の形をしたチョコレートの作り方をスタッフ自らが実演している。こうしたユニークな広報活動の成果もあってか、本来は閑散期にあたる真冬にもかかわらず、来館者数は目に見えて増加しており、開催日からの累計で約6000人に上っている。コーヒー鑑定士や料理人を招いたセミナー、(株)明治とコラボしたワークショップなどは、すぐに予約でいっぱいになった。また、夏の食虫植物のイベントでも見られた傾向だが、今までになく若い世代の姿が目立つようになってきているという。
館長の久山敦さんは「一杯のコーヒーを入れるために豆が60粒ほども必要になったり、カカオやコーヒーの農園を作るために自然環境が破壊されたりすることもある。若い人たちには、簡単に手に入っているように思えることが、本当は簡単ではないということを知ってもらい、もっと自分たちの日常に関心を持ってほしいと思います」と話している。
期間中、絵本の読み聞かせ会(土日のみ)、ガーナの子どもたちの絵画展(常設)、コーヒーノキの販売などがある。また、コーヒーのドリップ実演セミナー(18日)、シフォンケーキのデコレーション(24日)、シリアルバー作り(25日)、ソープカービング(24日、25日)などのワークショップもある。一部を除いて有料、要事前予約、定員になり次第受付終了。入館料は高校生以上500円。問い合わせは同館(06・6912・0055)まで。