このサービスは記憶力の低下や、計算や見通しをつけることに困難があり、金銭管理ができにくい方には便利です。例えば月の前半と後半に分けて定額を持ってきてくれるため、「年金が入金されたあと、一気に使ってなくなってしまった」という状況を回避できる手段です。
Aさんの場合、息子はこのサービスの利用に最初から乗り気でしたが、当のAさんは「自分のお金は自分で管理できる」の一点張りで、利用には拒否を示されました。考えてみると、自分の通帳を人に渡すということには大きな不安が起こるのは当然です。息子と介護の支援者らは協力し、時間をかけて説明をし、Aさんも納得して契約することができました。
もし、Aさんの理解力の低下が進んでいれば、このサービスは「契約能力があること」が条件なので、使えない可能性がありましたが、Aさんは現時点では分かり易く説明すると理解をされました。今後、物忘れが進行し、判断力や理解力が低下した場合には、成年後見制度の利用が必要になるかもしれません。しかし、現時点では少し金銭管理のお手伝いをしてもらえると在宅生活を安心して継続できる状態でした。このサービスは、認知症の人、知的障害者・精神障害者で日常の金銭管理が難しい方にとって、生活を安心して続けるため役立ちます。お金の管理は、暮らしの中では大切な家事のひとつです。この春から独り暮らしになった方もそろそろ生活に慣れる頃ですが、金銭管理は一人では難しそうだなと感じたら、お住まいの地域の役所や地域包括支援センター、社会福祉協議会へ相談してみましょう。