この“視点”ありそうでなかった 鳥の視線で街の変化を切り取ると…

 その後、青山さんは石原さんの『神戸絵図』と同じ角度で神戸の街を描いた『神戸旧居留地鳥瞰図2006』を独学で完成させます。その後も『港町神戸鳥瞰図』を08、14、17年と改訂しながら発表しています。

 神戸の街については、他にも神戸大学名誉教授・神木哲男さんの監修の元、文献資料から開港時の神戸を描きだした1868年版もあり、石原さん作の1981年版『神戸絵図』も含め、鳥瞰図による都市の定点対比記録としては日本でも屈指のものが残せていると青山さんは自負しています。

 数々の取材に細かな描画、ひとつの鳥瞰図を完成させるのには数年単位で時間がかかることもあるのだとか。その間にも街の景色はどんどん変化し続けます。

 「地上を歩いて撮影した景色が、その後の空撮時には変わっていることも。そんな場合はちょっとしたさじ加減で残してあげたいなと思うものを古いまま描くこともあります」

 青山さんの鳥瞰図は正確に描かれているとは言え、厳密な記録写真とは異なる絵画作品。他にも青山さんが描きたいと思ったお気に入りの船や人物などが違和感のない範囲で描き込まれています。鳥瞰図に描かれているのはすべて過去の実際の街の風景。ですが、正確には青山さんの目線を通して描かれた街の記憶なのかもしれません。

 今回の作品展では、青山さん作の『港町神戸鳥瞰図』の4作品と『大阪梅田鳥瞰図2013』などが展示されています。特に、今も再開発で大きく姿を変えつつある大阪梅田地域については石原正さん作の『大阪梅田絵図1983』もあわせて展示されていますので、ふたつの鳥瞰図を見比べながら大阪都心のダイナミックな変化をぜひ感じてみてください。

「鳥瞰図 鳥の視線で見てみると」大阪府立中之島図書館で4月27日まで開催。展示時間は9時から20時(最終日のみ17時まで)

青山大介オフィシャルWebサイト:http://www.aoyamadaisuke.com/

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