バイクが跳ぶ、垂直の壁を駆け上がる!あり得ない動きを目の当たりにできる「シティトライアルジャパン」

小嶋 あきら 小嶋 あきら

 起伏に富んだ自然の地形を、足を着かずにオートバイで走る競技「トライアル」。垂直に近い崖や岩をひとつひとつクリアしていくその動きは、まるで物理の法則を無視した様です。そんなトライアルを街中で見られる「シティトライアルジャパン」は2018年に始まって5年目。今年は11月12日、大阪・中之島で行われました。

トライアルってどんな競技?

 もともとトライアルは起伏の激しい大自然をバイクで走破する、速さよりも正確なマシンコントロールを要求される競技です。セクションと呼ばれる採点区間を、足を着かずにクリアするのがルール。1回足を着くと1点、2回着くと2点、3回着くと3点。転倒したりバイクから降りたり、セクションの外に出たりすると5点減点されます。また、減点無しでセクションを通過することを「クリーン」といいます。

 競技はいくつかのセクションを通して行われ、最終的に減点が一番少ないライダーが優勝です。自然の中ではなく、スタジアムなどに人工のセクションを作って行われるスタジアムトライアルと呼ばれる競技もあり、席から競技の模様が見通せるため多くの観客を集めます。

街中で開催されるシティトライアルジャパン

 そんなトライアルを街中で開催する。見慣れた街の景色の中、信じられないようなスーパーテクニックでセクションをクリアしていく様子を間近で観戦できる大会として誕生したのがシティトライアルジャパンです。出場できるのは年間上位10名のトップライダー。まさにトライアル界のサミットです。

 第1回が開催されたのは2018年、大阪のシンボル「通天閣」の前にセクションが作られました。全く新しい斬新なイベントでしたから、筆者ももちろん行きました。

 トライアルのセクションは丸太や箱、巨大なタイヤなどが無造作な感じで配置され、「これのどこをどうやってバイクが通過していくのか?」というところから既に訳がわかりません。この時のセクションもそうでした。高い壁やコンクリートブロック、丸太などが行く手を阻むようにこれでもかと配置され、とてもじゃありませんがここをバイクが登ったり飛んだりして越えて行けそうな気がしないのです。

 しかし、日本の頂点で戦うトップライダーの競技が始まるや、自分の目を疑います。「これ特撮じゃないの?」と思わせるような動きをバイクが見せ、ルートがないと思われる空間を跳び、華麗にクリアしていくのです。

 この時は一回限りのイベントかもしれないと思いましたが、その後も回を重ね、2022年からは全日本トライアル選手権シリーズの1戦になりました。

やや天気に恵まれなかったシティトライアルジャパン2023

 シティトライアルジャパン2023は、大阪市の中心部・中之島。大阪市中央公会堂前の広場で行われました。当日は曇り、時折雨の降る天気でしたが、会場には大勢のファンが集まりました。オープンな空間での無料イベントとあって、トライアルをしていると知らずに通りかかった人も足を止めて観戦していました。

 午後になると雨が本降りになって、セクションの丸太などが濡れて滑りやすくなり転倒が続出。急遽セクションの改修が行われるという場面も。この日の最終結果は優勝・氏川政哉選手、2位・小川友幸選手、3位・野﨑史高選手でした。

 来年の開催日時、場所は未定ですが、これまでの大会が通天閣、万博記念公園、泉南りんくう公園を舞台にしていましたので、おそらく大阪のどこかで行われるものと思われます。

 モータースポーツでは珍しい、競技者と観客の距離がとても近くて迫力満点のトライアル。ぜひ一度お出かけください。

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