一面黄色の菜の花畑に建つチャペル。待ちわびる新郎のもとに、ウエディングドレス姿の花嫁が、愛車のバンを駆ってやってくる-。DIYした中古バンで車中泊をしながら日本を旅する話題のユーチューバー「わたなべ夫婦」がこのほど、神戸市内の田園地帯で結婚式を挙げ、その動画が「素敵すぎる」と見る人の心をわしづかみにしている。
奈良県出身のだいきさん(26)と、神戸市出身のゆみさん(27)の夫婦。元銀行員のだいきさんは結婚後、ベトナムでベンチャー企業を立ち上げた。ゆみさんも後を追ったが、だいきさんは多忙で不在が続き、ゆみさんの寂しさとストレスは極限に。結婚1年もたたないうちに離婚の危機を迎え、二人が出した結論は「一緒に楽しく過ごすのが一番大事」だった。だいきさんは会社を辞め帰国。商売するにも元手がなく「いったんリフレッシュしよう」と、日本を一周しながら住む場所や仕事を探す旅に出ることにした。
宿泊費を削るため中古の商用バン(マツダボンゴ)を買い、ホームセンターで買った塗料でベージュと白のツートンカラーに塗装。ベッドは幅を取るため、すのこを組み合わせ必要に応じ引き出せる可動式ベッドや棚を自作。その様子をYouTubeに投稿したところ、200万回以上再生され話題になった。その後も自炊用に食糧庫や調味料入れを作るなど改良を重ねる動画を投稿するたび「ここまでやるとは」とコメントが殺到。「貯金が尽きるまで数カ月のつもりが、車中泊自体が仕事になってしまった笑」とだいきさん。チャンネル登録者は5万6千人に増え、最近は各地の名所紹介も兼ねて週2回のペースで動画を投稿している。
そんなこんなで流浪の旅を続けるわたなべ夫婦だが、二人とも「いわゆる披露宴に興味がない派」で結婚式は挙げずじまいだったとか。ところが昨秋、トレーラーハウスを改造したチャペルで「日本初の走る結婚式場」を運営する「ルーロット」(神戸市)から、神戸市西区の休耕田を使った「1日限りの菜の花畑結婚式」への参加を呼びかけられ、「これなら定住地のない自分たちにぴったり」と快諾したという。