犯罪者とその作品 ピエール瀧の事件で思うこと

夜回り先生・水谷修/少数異見

水谷 修 水谷 修
ピエール瀧容疑者
ピエール瀧容疑者

 どのような薬物であっても、乱用を続けるためにはお金がかかります。そして、乱用者にとって、薬物を手に入れ使用することは命より大切なことです。手に入れたお金は、薬物を買うために右から左へと使われていきます。家庭をもっている乱用者は、必ずといってよいほど家庭を破壊しますし、青少年の場合は、両親を追いつめ、時にはこのお金のために犯罪や売春に走ります。

 また、もし、彼の演技や音楽が、薬物の使用とその影響の中で作られたものだったとしたら、それを見たり聞いたりすることに何の意味があるでしょうか。そこには、本当の彼はいません。頭と心と体を薬物に乗っ取られた哀れな彼がいるだけです。そんな哀れな彼の作品を、見たいですか。聞きたいですか。彼を本当に守りたいのならば、それはすべて捨て去るべきです。

 確かに、歴史の中で俳優でもロックやジャズなどの音楽家の中でも、薬物を乱用し作品を残した人たちはたくさんいます。でも、そのほとんどは、それを自らの命で償っています。私は、彼にはそうなって欲しくない。

 罪は、償うことができます。まずは、彼は、自分の罪を償い、薬物依存症という病ときちんと闘い、そして、また、私たちの元に戻ってきて欲しい。薬物に汚され、自らを乗っ取られることなく、彼の本当の姿で、素晴らしい演技や音楽を私たちに見せて欲しいと考えています。そのためにも、今、彼を愛する人たちは、そっと待つことです。

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