その中の1人、藤村久美子さん(50)は海外居住経験も豊富な主婦。「ロサンゼルスに住んでいる人は東京の人が熱海の温泉に行くみたいにラスベガスに行くんですよ。カジノは身近な存在でしたし、日本にカジノができると聞き、これは相当な雇用が増える。手に職を付けなければと思い、スクールへ。この仕事は3年目。ここでは一番新米です」。得意の語学を生かして将来はフロアマネジャーになるのが夢。「ディーラーは性別も年齢も関係ないですからね」。
清水美佑さん(31)は船上ディーラー歴5年。台湾、カナダ留学を経て、25歳のときカジノスクールに入学した。
「カナダのバンクーバーに住んでいるとき、寄港していた飛鳥2を見に行ったほど、いつか乗りたいと思っていました。そして、この仕事を始めて、最初の乗船で立ち寄ったのがバンクーバー。5年前に下から見上げた飛鳥にいま自分が乗ってると思うと不思議な気持ちでした」
梅村夏苗さん(25)もクルーズ客船で仕事がしたかったと言う。「専門学校で観光を勉強しながらカジノスクールへも通いました。家族でカジノに行くこともあったので、抵抗感なく入れた。この仕事の良さは“1粒で2度おいしい”ところ」と笑った。
フロアにはルーレットやブラックジャックのテーブルの他にスロットマシンが19台設置されていた。「この仕事は定年がありません。50代半ばからはじめても問題ない。必要なのはエンターテインメント性というか、場を盛り上げる心があれば」と谷村さん。なんだか、4人とも表情がいきいきとしていた。統合型リゾートへの動きが活発化する昨今。船上ディーラーを目指すのも悪くないかもしれない。