落語家の軽妙トークが好評 笑いの絶えない、大阪ならではの「お花見クルーズ」に乗船してみた

山中 羊子s 山中 羊子s

 水都・大阪ならではの「落語家と行く なにわ探検クルーズ 桜スペシャルクルーズ」が今年も注目を集めている。通常コースを飛び出し、桜の名所として有名な大川へ繰り出す、この時期ならではのスペシャル企画。春色に染まる大阪を川面からゆったり楽しめるのが魅力だ。落語家さんの軽妙な案内も大好評。早速、乗船してみた。

見どころを落語家が案内、笑いが絶えないお花見クルーズ

 2003年3月から始まった歴史ある「落語家と行く なにわ探検クルーズ」。長年、大阪観光の目玉の一つとして人気を博していたが、コロナ時代になり、年間を通じて毎日3~8便あった同クルーズがすっかり計画運休に。クルーズ業界も大変な時代になっていた。そんな中「落語家と行く なにわ探検クルーズ」の中でも特に人気の春の特別企画「桜スペシャルクルーズ」が開催される運びに。これを受け、26日12時30分出航便に乗船してみた。

 「落語家と行く なにわ探検クルーズ」は通常90分で周遊。「桜スペシャルクルーズ」の方は、通常のコースにプラス、桜の名所である大川までの約30分のコースを延長した120分の特別クルーズなのだ。お花見だけでなく、船内ではお弁当(予約販売)やお酒などの飲み物(当日販売)もゆっくりと楽しめる。

 案内するのは落語家だけあって、大阪の歴史やコース内の見どころを面白おかしく解説してくれたり、小噺や余芸があったりで、船内は笑いが絶えない。

桜スペシャルクルーズは1日3便、コースは2種

 この「桜スペシャルクルーズ」は1日3便で、コースは2種ある。ユニバーサルシティポートを出航する「川のゆめ咲線 桜スペシャルクルーズ」(10時便)は、ユニバーサルシティポート~安治川~堂島川~大川(桜の名所)~土佐堀川~東横堀川(東横堀川水門)~道頓堀川~湊町船着場(難波)を巡る。

 もう一つのコースは、湊町船着場(難波)を発着する「川の環状線 桜スペシャルクルーズ」(12時30分便と15時便でこちらは湊町船着場~道頓堀川~木津川~堂島川~大川(桜の名所)~土佐堀川~東横堀川~道頓堀川~湊町船着場を巡り、途中にメタリックな水門として知られる道頓堀川水門も見ることができる。

 見どころはやはり、桜の名所である大川。訪れた日は七分咲き程度だったが、それでも両岸のソメイヨシノの桜並木は圧巻で背景のビル群ともマッチしていた。白く浮き上がるように咲き誇る満開時はもちろん、散り始めの桜吹雪や花筏も見応えがあるとか。

 非日常的な風景に気分は高まり、時には、行き交う観光船や川辺を歩く人と手をふり合ったり…。もちろん、案内役の落語家さんが東横堀川水門を通る際には、この水門の重要性を解説してくれ、ちょっとした驚きもある。それによると、この水門は水位調整だけでなく水質の浄化や高潮の防止など、いくつもの役割を担っているとのこと。大阪に生まれ育っても、いままで川面から水門を見ることがなかっただけに、印象深かった。

 見逃せないのが、運航船の「ほたる」と「きらり」だ。ともに屋根が開閉できるほか、客室昇降機能でフルオープンにすることができる。聞けば、潜水艦と同じバラスト調整ができるため、船体自体を浮かせたり、沈めたりが可能なのだとか。特に低い橋をくぐる時は「うっそ~、ここまで平べったくなるの?」と驚くほど。橋の高さギリギリに船が通航するのが天井のガラス越しに見え、触れそうな気がして、ちょっとしたスリルを味わえる。通過する際、思わず首をすくめそうになったのは言うまでもない。

 今回、乗船していた50代の女性客は「普通のお花見もいいのですが、船上から川面に映る桜を眺めるのも情緒たっぷりで、ゆったりした気分で楽しむことができました。また、お弁当も予約できますし、これが結構おいしい。船内ではお酒などのドリンクも販売していたので、花見気分がさらに盛り上がりました」と実に楽しそうでした。

 お花見シーズンの後はゴールデンウィークの4月29日から5月8日までの土日祝日に限り、通常の90分運航「落語家と行く なにわ探検クルーズ」(川のゆめ咲線10時便、川の環状線12時便、14時便、おとな3000円、学生2000円、こども無料)が予定されている。

 あっという間の2時間クルーズ。それにしても、コロナが収束し、かつてのように年間運航も復活し、笑いとにぎわいが戻ってほしいものだと、船を降りた時、つくづくと願った。

 ◇「桜スペシャルクルーズ」4月1日(金)~10日(日)おとな3500円、学生(中学・高校・大学・専門学生)2500円※学生証の提示が必要。こども(小学生・未就学児)無料※おとな1名につき1名を超える小学生・未就学児は1000円。お弁当「なにわ水都御膳」は1800円(※2日前までに要予約※10時発には用意なし)

■問い合わせ先 一本松海運株式会社
TEL06-6441-0532(9:00~18:00)
http://www.ipponmatsu.co.jp/

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