一方がん細胞は、PDーL1というT細胞のPDー1と結合する物質を作って強引にT細胞のブレーキを踏ませ、がん細胞を攻撃できなくします。生き残るためとはいえ、がん細胞もズルいのです。ニボルマブはこのPDー1にくっついてPDーL1と結合できないように守り、T細胞は心おきなくがん細胞と戦えるのです。
ニボルマブは免疫機能にブレーキをかける物質にピンポイントで作用し、T細胞の攻撃力を高めるのです。ただ、今のところニボルマブを使えるがん種は決まっていますし、使える条件も決まっています。それらの条件をクリアした方に投与した場合でも、残念ながら2割強の症例にしか効きません。正直まだ夢の特効薬というわけではありません。今後のさらなる研究が求められているのです。