希望広がるオプジーボだが…しかるべき施設で適切な治療を

ドクター備忘録

谷光 利昭 谷光 利昭
がん治療薬「オプジーボ」への期待は高まる一方だが…(提供・共同通信社)
がん治療薬「オプジーボ」への期待は高まる一方だが…(提供・共同通信社)

 これまでの抗癌剤は、癌細胞が増殖するときに必要なものを攻撃して癌を排除する方法なので、発想が違うのです。実はこの薬は14年9月から使用されています。私は治療で使ったことがないですが、患者さんによっては劇的な効果が出ているようです。

 だた、“希望”広がっていく一方、知っていただきたいこともあります。オプジーボは現在、7種類の癌に保険適応されていますが、使用するには患者さんの病態による制限があります。さらに、腫瘍細胞にある特定の物質の有無を調べてから投与が推奨されている癌もあります。実際に薬を投与できる病院、医師も限られているんです。

 2人に1人が癌になる時代で、この薬に大きな期待が寄せられるのは当然です。担当医から治療の術がないと言われたときに最後の望みを託す…そのお気持ちも痛いほど分かります。しかし、決して“万能薬”ではないことを認識した上で治療に臨んで頂きたい。

 残念なことですが、高額なオプジーボの名前を利用して、不適切な医療をする人たちが出てこないとも限りません。しかるべき施設で適切な治療を受けて頂きたいと切に願います。

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