「白い歯」には人それぞれの「白」がある

ドクター備忘録

中塚 美智子 中塚 美智子
 白い歯は人それぞれなんですね
 白い歯は人それぞれなんですね

 新年度が始まり、本学も歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士を目指す多くの新入生を迎えました。キャンパス内は日々キラキラ輝く笑顔で溢れています。

 輝く笑顔に欠かせないのは「白い歯」。しかし、鏡でご自分の歯をちょっとご覧ください。本当に白いですか?よく見ると、歯茎に近い部分は淡い黄色ですが、徐々に透明に近づいていますよね。

 歯の表面には半透明のエナメル質があり、その内側に淡い黄色をした象牙質があります。私たちが見ている歯の色はエナメル質を通した象牙質の色で、加齢によって色が濃くなり、褐色がかってきます。「白い歯を入れて欲しい」と望む患者さんもいらっしゃいますが、歯科医師が本当に真っ白な歯を入れると逆に歯だけが白浮きし、「何でこんな歯を入れたんだ!」とお叱りを受けることになりかねません。

 かぶせ物や入れ歯の歯の色を決める際には色見本を用い、残っている歯や以前使っていた入れ歯の色、患者さんの年齢や顔貌などを参考にします。診療台の照明と太陽光では光の屈折に違いがあり、歯の色が異なって見えるため、色調選択時には考慮が必要です。入れ歯の場合、基本的には既製の、患者さんに最も合う色の歯を選択して用います。

 かぶせ物は治療によりさまざまですが、歯科技工士が歯を製作する場合、専用の材料を調合して、個々の患者さんに合わせた色の歯に仕上げていくこともあります。

 色は白だけではありません。エナメル質の感じを出すためにピンク色、立体感を出すためにオレンジ色、透明感を出すために水色を使うこともあり、匠の技で仕上げた歯は天然の歯とほぼ見分けがつかない完成度です。

 輝く笑顔に欠かせないのはみなさん一人一人に調和した色つやの歯、ということになりそうですね。

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